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第101話 助けての声を聞き!

 《フレイム島》


 「居ましたよヒロユキさん!【フレイムマルク】です!」


 ジュンパク達がこの島に上陸する前からヒロユキ達は依頼をこなす為にここ《フレイム島》に来ていた。


 「キシャァァア!」


 刺々しい甲羅を背負った体長3メートルの亀が口から火を出してヒロユキを攻撃してくる。


 「……」


 その攻撃を回り込みながら避け後ろを取った。


 「良いですか!フレイムマルクは甲羅から血まで何もかもが使えます!今回の依頼は血の入手なのでなるべく傷付けずに捕獲しましょう」


 「……分かった」


 それを聞いたヒロユキは1枚の魔皮紙を地面に置き__


 「……【集点】」


 装備についている魔法を発動させながら後ろを振り向き全力でまっすぐ逃げる。


 「キシャァァアマ!」


 後ろを振り向いたフレイムマルクは突然逃げ出したヒロユキを追おうとして前に出た瞬間!


 「シャ!?」


 地面がいきなり盛り上がりフレイムマルクを押し上げて仰向けにさせた。


 「なるほど、【土塔】ですか、やりますね!」


 刺々した甲羅が地面に刺さって身動きが取れないフレイムマルクは仰向けになりながらも火を撒き散らす。


 「……これで終わり」


 最後にヒロユキは1つの瓶を魔皮紙から出して太刀にその液を塗ってフレイムマルクを斬る。


 「シャァァァア!ガ……ガ……」


 斬られたフレイムマルクは徐々に動かなくなっていった……


 ヒロユキが使ったのは【クリプトバルログ】の毒。

 人間がこの毒を傷口などに塗られたら数時間であの世に行くが魔物に対しては痺れさせる程度にしかならないのであまり高価な物ではない。


 むしろ、この様に捕獲する時にプラチナ冒険者が良く使う物だ。


 「……ユキ、これでいい?」


 「パーフェクトです!では解体しましょう」


 ユキは転移魔法で痺れているフレイムマルクの首元に来て魔皮紙を広げ、そこから人1人ぶんくらいのガラス瓶をだした。


 「はい、じゃぁヒロユキさんお願いします」


 「……」


 ヒロユキは伸びているフレイムマルクの首を斬り、首からどんどん血が出てきてユキの用意した瓶に入っていく……


 「もうそろそろ慣れましたか?」


 血が溜まっていく瓶を見ながらユキは尋ねる……ここ最近プラチナ冒険者になったヒロユキには魔物討伐の依頼が多くなりその度にこの様な事をしていた。


 ゴールドで採取依頼をする際、倒さなければいけない魔物がいて、もちろんその時にも狩っていたが頻度は稀でその度にヒロユキは不快な思いをしていたのだが……プラチナになると毎回の様にあるのでそうも言ってられなくなった。


 「……あぁ」


 「…………さ!今回の依頼は終わりました、後はこの血抜きしたフレイムマルクをギルドに転送して少しだけお肉の素材を貰って後はお金に変えましょう」


 「……これ食べるの?」


 「当たり前です!フレイムマルクのお肉は他の魔物と違ってまた別の美味しさがあるんです」


 「……ふーん」


 「…………それに精力もつくっていいますし」(ボソッ)


 「……何か言った?」


 「何でもありません!ささ、日も暮れてきそうですし夜になる前にとっととやっちゃいましょ」


 「……うん」



 __その時だった。




 「……!?」


 「この音は!」


 作業に取り掛かろうとした時、少し遠くの方から隕石でも落ちてきたのではないかと言うほどの音が聞こえてきたのだ。


 「……ユキ」


 「はい、只事ではなさそうですね、言ってみましょう」



 2人は音のした方向に走っていく……。



 どうやら何か戦闘があるらしく森の木が倒れていく音も聞こえてきた。






 そして。





 「誰か……誰か助けて……」





 ヒロユキの耳に聞こえて来たのは助けを呼ぶ声だった。




 「……ユキ」


 「何ですか?」


 「……先に行く、【限界突破】」


 「え!?あ!?ヒロユキさん!?」


________________



____________



________



 「っ!お前は!」


 「……」


 ギリギリと刃が当たる音を立てながら黒騎士の攻撃を塞いだヒロユキ。


 それを援護する様に黒騎士の横から【炎弾】が飛んできて黒騎士に距離を取らせた。


 「ヒロユキさん!大丈夫ですか!?」


 「……あぁ」



 漆黒の騎士は何も喋らずヒロユキ達の出方を伺っている。


 「……ユキ、あの鎧」


 「ええ、あんな禍々しい魔力を出している装備なんて私も見たことありません、きっとこの世の物では__」


 「……兄さんが好きそうなデザイン」


 「そこですか!?そこなんですか!?」


 2人はそんな会話をしながらもジュンパクを守るような位置に付いている。


 「どうします?正直、動けない人を庇いながら相手するには私から見たら無理な気がしますけど」


 「……ユキ、こういう時兄さんが言ってた」


 「フフッ、私のお母さんも言ってた事があるんです」


 「「諦めたらそこで終了なんだ!って」」


 「……いいお母さんを持ってる」


 「そっちもいいお兄さんですね」


 「とりあえず私が何とか時間を稼いでみます!その間にこの子を!」


 「……分かった」


 ジュンパクをお姫様抱っこしたヒロユキは森の中に走っていく。


 「逃がさん」


 「おっと、少し待ってくださいね」


 動こうとした黒騎士の周りを囲う様に火が出てくる。


 「っ!」







 「ヒロユキさんを追いかける前に私を倒して行きなさい!言っときますが私はそこら辺の冒険者よりも強いですよ」










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