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第113話 先生みたいになりたい!

 《保健室》





 保健室ベッドで1人、天井を見つめながら思う。





 この設定つけた奴ただじゃ済まさねぇ……


 なんだよ、これって周期的に来るもんなの?


 あれじゃん、漫画とかだと1回来れば終わりじゃん、女になってここまで正確にしなくていいんだよ!




 「くっそ……」



 なんだこの痛み!吐き気!気分の悪さ!頭痛!目眩!くそがぁ!いてぇ!イライラする!


 「今日はみんなとお歌を歌う予定だったのに……」


 無理やり眠ろうと目を閉じてもぐるぐるなって吐き気が襲う。


 「おぇ……」


 「大丈夫ー?」


 「あ、ドーロさん……」


 気分が悪すぎてドーロさんが来た事に気付かなかった。


 「大丈夫じゃないです」


 「重い方なのねー、何か食べる?」


 「無理です」


 「そっかー……他の男の人たちには急な体調不良って言ってあるよー」


 「ありがとうございます……」


 「気にしなくていいのよー」


 「子供達はどうですか?」


 「アオイ先生がいないって大慌てよー、泣いちゃう子も出てきて、相当みんなに好かれてるのねー」


 「僕も子供達が好きですよ」


 「将来子供ほしいー?」


 「それはちょっと……いや、えーっと嫌いってわけじゃないんですけど」


 子供は欲しいけどこの場合俺が産む方だよな?これ……


 「?」


 「その、なんというかですね、怖いと言うか男が体験したら死ぬって聞いたことありますし……」


 「そうかもねー、でも子供はいいものよー、これを見てー?」


 そういうと1枚の魔皮紙を取り出した。


 「これは____!」


 「みんな待ってるわよー」


 「こんなの……うぅ……」


 その魔皮紙にはまだ慣れていない不格好な字で{せんせい早く帰ってきて}や{せんせい寂しい}とみんなからのメッセージが書かれていた……。


 なんだこれ……涙が出てくる。


 「みんなぁぁ……」


 「はいはい泣かないのー」


 無理だよ!こんな情緒不安定で心も身体もボロボロな時にこんなの!


 泣いていると扉を開ける音がした。


 「あら、来ちゃだめでしょー?」


 「せんせー……」


 「みーちゃん?どうしたの?」


 そこにはいつぞや勇者ごっこで人質にとった子が居た。


 確か名前を《ミール》と言って、みんなからは《みーちゃん》と呼ばれている……前は茶髪の地毛だったが今は金髪に変えている。



 「せんせー泣いてるの?」


 みーちゃんは俺の近くまで来てくれた。


 「ん?フフッ、先生のこれはいい涙だよ?」


 「いい涙?」


 「ほーらー、みーちゃん、アオイ先生に言うことあるでしょー?」


 「言う事?」


 みーちゃんの目を見ると恥ずかしそうにもじもじして顔が赤くなっていく。


 「せ、せんせー……私、わたし……」


 「うん、どうしたの?」


 「せんせーみたいになりたい!綺麗になって、お胸も大きくなって」


 「僕みたいに?」


 「うんっ、だから髪の毛の色もルクスせんせーに頼んで変えてもらった」


 「そうなんだ、嬉しいな♪」


 みーちゃんを撫でてると笑顔が出る。


 「えへへ、だからせんせー、もっと遊ぼ!」


 「ありがとう、先生もすぐ良くなってみんなのところに行くからね?」


 「うん!」


 「フフッじゃぁ戻ろっかー、みーちゃんー、アオイ先生ーちょっとこの子を帰してきますねー」


 「ありがとうございます」


 「せんせーばいばい」


 「うん♪ばいばい♪」


 俺は扉が閉まるまでベッドから笑顔で手をふって見送った。
























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