《ミクラルヴォルケーノ周辺》
「……」
マークの攻撃は無抵抗のトミーに命中して何本かその身体を貫いた後、砂煙があがって姿が見えなくなった。
「(最初は手応えがあった……だけど……)」
風魔法で砂煙を振り払う。
「……いない」
動けるはずのないトミーがそこには居なかったのだ。
「(空間固定を自力で抜け出した?あり得ない、あれは固定された本人は何も出来なくなる……つまり)」
「意外ですね、あんなに一騎討ちを望んでいたアナタが負けそうになると仲間を呼ぶとは……プライドは無いんですか?」
それに応えるように周りの影が蠢きだす。
「(まさか……影移動!?レナノスさんが裏切った?いや、あの人はたまこに惚れている、いつでも裏切る可能性は充分にあった……まずい、ここで六英雄を2人も相手するのは……)」
だが、影から出てきたのはレナノスではなく__
形状が変化してパワーアップしている漆黒の装備を着た『エス』だった。
「……誰ですか?あなたは」
「……」
エスは別の影から串刺しになったトミーを出す。
「てめぇ……余計なことしやがって、おい、エス」
「この程度の相手に時間をかけている時点でお前の負けだ、お前は隠してるつもりだが情が邪魔してるのは見てわかる」
「聞き捨てなりませんね、この程度?まぁ俺達は人間からすると確かに有名ではないですけど__」
「《六英雄》のマーク、数々の魔族戦争をその力で終わりに導いた伝説の男の子孫」
「…………知っていての発言ですか?」
「そうだと言ったら?」
「………………………良いでしょう、挑発に乗ってあげますよ!」
「あぁ?おい!俺無視して話してんじゃねーぞガキども!」
今にもエスとマークが戦いそうになっている所を完全に回復したトミーが血管が浮き出るほど怒り叫ぶ。
「お前は負けただろ」
「アナタは黙っててください」
「あぁ!?いいぜ、てめーらまとめて2人とも殺してやるよ!おい!」
「それは俺のセリフですよ」
「ふん……アオイの為に俺は今死ぬわけにはいかないのでな……悪いがそちらがその気で来るのなら2人とも殺す」
3人が同時に動きだしそうになった__その時!
{みんなストーップ!}
エスとトミーの方にはアオイからの通信が。
{マーク、レナノス直ちに戦闘をやめなさい}
マークの方にはウジーザスからの通信が入った。