季未
異世界ファンタジーダークファンタジー
2025年05月10日
公開日
12.3万字
連載中
──先代魔王ヴァレリウス、崩御。
魔界は空位となった玉座を巡り、八人の後継者候補による血と謀略の選定戦へと突入する。武力、知略、財力、血統――全てを駆使した候補者たちの壮絶な心理戦と駆け引きが始まった。
だが、誰も知らない。この残酷な「遊戯」の盤面を、ただ一人の男が影から支配していることを。
魔王城の片隅で書物を整理する、目立たぬ書庫番の青年エルピス。彼こそが、先代魔王を育て上げた太古の超越者にして、この選定戦を仕組んだ冷酷非情な「選定人」である。
「さあ、愛しき駒たちよ。せいぜい見苦しく、されど懸命に踊り狂え。お前たちが演じる滑稽な茶番こそが、我が永きに渡る虚無の、唯一の慰みなのだから」
美しくも悍ましい微笑みを浮かべる彼の手の中で、魔界の未来が歪んでいく。
これは、無垢にして邪悪な超越者が紡ぐ、魔王誕生の叙事詩。