山城まつり
ミステリー推理・本格
2025年05月11日
公開日
13.4万字
連載中
医療×現代ファンタジー×ミステリ、開幕!
医療に馴染みのない若人に贈る、魔法と医学の融合作品!
「………最悪な推理していい?それが、一番真実に近い気がするんだ」
エピファニー・ルネサンス、魔法革命。
1880年から1900年にかけて起こったそれは、世界基盤を覆し人類を震撼させた。
────魔法と異界の存在の解明。
人々の間に幻想は瞬く間に普及し、科学を超えた。そして今、かの幻想は科学と共に在る。超然と日常は融合し、魔法は世界の「常識」へと上り詰めた。
日本では2013年に万の疾患を治す「魔法抗体」が開発され、幻想を取り入れた医療技術は確実に進歩を遂げていた。そんな中、とある患者の手術において、魔法医療を行った瞬間に大出血を引き起こすという医療アクシデントが発生する。安全だと裏付けられている筈の医療魔法で、何故?
魔法を一切用いない【医学界の異端児】・櫻田翠〈さくらだひすい〉はその謎を追う。
その先にあるのは交じり合う愛と、優しい嘘が紡ぐ真実。
魔法医療の限界地点。そこで彼が、識る事になる答えとは。
プロローグ:緋色の戒
Chapter01:残響する記憶
***
「────魔法っていうものはね、異界……天使や悪魔が住んでいる世界の理を、現実に持ってくるものなのよ。考えた事を、そのまま現実にする力。脳が異界に繋がって、対応する信号を連れてくる。その信号をわたしたちは打ち出して、ものに伝わって、魔法が起きる。お母さんは、その脳の仕組みを失っちゃったけれど。
魔法は、科学。魔法は、愛。────翠、緋。わたしの可愛いこどもたち。お母さんは、あなたたちに……愛という魔法を、ずっと送り続けるからね。」
そう────。
ずっと、ずぅっと、ね────。
魔法とは、概念を力にすること。
契約とは、概念とともに生きること。
そして刻印とは、概念をその身に宿すこと。
***