世界の敵が欲しいのは一つだけ。
与えられたのは孤独と迫害。生誕した罪人は許されることなく檻に住む。増悪だけが肥大化するこの地に爪痕を残したい。
この世界にいるのは自分だけ。だから世界の敵が欲しいのは一つだけ。
友が欲しい。それだけが欲しかった。
それだけが、どうして手に入らないのか。
「命令だ」
呪いたくなるほどの悔しさと共に少年は言い放つ。目の前にいる金髪の少女へ向けて。跪き今も自分を見上げる彼女を見つめて。
「もう、二度と俺の前に出てくるな」
嘆きを口にするように、別れを告げた。
なぜこんなにも手に入らないのだろう。友達というありきたいな存在がまるで雲の上のように届かない。
伸ばした手は払われて、少年は希望を手放した。
友達が欲しいだけ。それだけなのに叶わない。神様なんていなくていいからこの手を掴んで欲しい。
それだけを求めてる。
世界の敵は、泣いていた。