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第18話



ミライによる教育改革は、着実に成果を上げつつあった。各地の学校では、新しいカリキュラムに基づいた授業が行われ、子供たちは目を輝かせながら学んでいた。倫理観や道徳観を学ぶ授業では、互いを尊重し、助け合うことの大切さを学び、異文化理解の授業では、様々な文化や歴史に触れ、多様性を尊重することの大切さを学んでいた。環境問題に関する授業では、自然の仕組みや大切さを学び、自然と調和して生きることの大切さを学んでいた。


ミライは、各地の学校を視察し、子供たちの様子を直接見て回った。子供たちの笑顔を見るたびに、彼女は教育改革の意義を改めて感じ、喜びを噛み締めていた。


しかし、平穏な日々は長くは続かなかった。ある日、ミライは、王宮の一室で、古い文献を読んでいた。それは、古代文明が残した記録の一部だった。彼女は、これまで読んだことのない記述を見つけた。


それは、世界の根源とは別の、もう一つの力の存在について記されていた。その力は、世界の根源とは対照的に、混沌と破壊を司る力だという。その力は、世界の均衡が崩れた時に現れ、世界を滅ぼすと伝えられていた。


ミライは、その記述を読み終え、背筋に холодный пот (冷や汗) が流れるのを感じた。彼女は、世界の根源との戦いを終え、これで全てが終わったと思っていた。しかし、新たな脅威が迫っていることを知り、深い憂慮を感じた。


彼女は、すぐに王にこのことを報告した。王は、ミライの報告を聞き、深刻な表情になった。


「それは…大変なことだ。もし、その力が本当に現れたとしたら…」


王は、言葉を詰まらせた。


「私も、そのことを懸念しています。私たちは、すぐに調査を開始する必要があります。」


ミライは、真剣な表情で言った。


王は、すぐに調査隊の派遣を決定した。調査隊は、古代文明の記録に記されていた場所を中心に、調査を行うことになった。ミライも、調査隊に同行することを決めた。


調査隊は、数週間かけて、各地を調査した。しかし、混沌と破壊を司る力の痕跡は見つからなかった。ミライは、焦燥感を募らせていた。


ある日、調査隊は、深い森の中に足を踏み入れた。そこは、古代文明がかつて重要な儀式を行っていた場所だと伝えられていた。森の中は、不気味な静けさに包まれており、鳥の鳴き声一つ聞こえなかった。


調査隊は、警戒しながら森の奥へと進んでいった。すると、彼らの前に、巨大な祭壇が現れた。祭壇は、黒い石で造られており、表面には不気味な模様が刻まれていた。


ミライは、祭壇に近づき、注意深く観察した。すると、祭壇の中央に、小さな亀裂が入っているのを見つけた。その亀裂からは、微かな黒いオーラが漏れ出していた。


「これだ…!」


ミライは、確信した。この亀裂こそ、混沌と破壊を司る力の封印が弱まっている証拠だった。


その時、祭壇から、不気味な声が聞こえてきた。それは、人間の言葉ではなく、耳をつんざくような、不快な音だった。


「…目覚める…」


その声は、低く唸るように言った。


祭壇の亀裂は、徐々に大きくなっていき、黒いオーラが激しく漏れ出し始めた。周囲の空間が歪み、地鳴りが轟いた。


「離れるんだ!」


ミライは、叫んだ。調査隊は、急いで祭壇から離れた。


祭壇から、巨大な黒い影が現れた。それは、不定形で、見る者の心を不安にさせるような、おぞましい姿をしていた。それは、まさに、混沌と破壊を司る力の化身だった。


黒い影は、咆哮を上げ、周囲に強大なエネルギーを放出した。木々はなぎ倒され、地面は抉られた。調査隊は、必死に逃げ惑った。


ミライは、黒い影を見つめ、決意を新たにした。彼女は、この新たな脅威に立ち向かい、世界を守らなければならない。彼女は、「均衡の守護者」としての使命を果たすために、再び戦いに身を投じることを決意した。




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