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第20話 新たな未来

 宰相ダリウスが失脚し、皇帝が救出され、エスティリス帝国には静かな安堵が広がり始めていた。帝都の混乱は徐々に収まり、皇帝派の主導で新たな秩序が作られつつあった。ナヴィアは宮殿の庭に立ち、一息つきながらこれまでの出来事を振り返っていた。



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4カ国同盟の功績


「ナヴィア様、4カ国同盟の指導者たちから感謝の言葉が届いています。」

アルマが丁寧に報告をすると、ナヴィアは微笑みながら頷いた。


「みんなのおかげで、お父様を助けられたんだよね。本当にありがたいよ。」

ナヴィアの目には感謝の気持ちが溢れていた。


各国からの協力なしでは、この作戦は成功しなかった。同盟軍の迅速な動きと、各国の姉たちの支援が、帝国を救う鍵となったのだ。


「エリュシオン王国のヴィクトール王子様も、最後まで応援してくれてたし……わたし、もっとがんばらなきゃ!」


アルマは微笑みながら頷き、ナヴィアの肩を優しく叩いた。


「ナヴィア様は本当に素晴らしいお働きでした。周りの皆が協力してくれたのも、ナヴィア様のお人柄があったからこそです。」



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皇帝との再会


その後、ナヴィアは父である皇帝の病室を訪れた。病床に伏せる皇帝は、まだ完全には回復していなかったが、ナヴィアが訪れると優しい笑顔を見せた。


「ナヴィア、よく来てくれた。」

皇帝の声は弱々しいが、そこには深い安心感がにじみ出ていた。


「お父様、もう大丈夫だよ。宰相さんはもう捕まったし、帝国は少しずつ元に戻っていくの。」


皇帝は目を細め、ナヴィアの顔をじっと見つめた。


「お前がここまでしてくれたおかげだ……本当に、立派になったな、ナヴィア。」


「お父様がずっと見守ってくれてたから、わたしもがんばれたんだよ!」

ナヴィアは明るく答えたが、その目には涙が浮かんでいた。


「これからはお父様にゆっくり休んでもらうために、わたしがもっとがんばるからね。」


皇帝はその言葉に穏やかに頷き、目を閉じた。



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ヴィクトールの訪問


その日の夕方、ナヴィアの元にエリュシオン王国の第二王子、ヴィクトールが訪れた。宮殿の一室で再会した二人は、互いに微笑みを交わした。


「ヴィクトール王子様、来てくれてありがとう!」

ナヴィアは嬉しそうに駆け寄った。


「ナヴィア殿下、君の活躍を聞いて、いてもたってもいられなくてね。」

ヴィクトールは穏やかに笑いながら答えた。


「本当にありがとう。あなたがいなかったら、こんなにうまくいかなかったよ。」


ヴィクトールは少し肩をすくめた。


「いや、全ては君の行動力と覚悟のおかげだ。僕はただ、君に影響を受けて動いただけさ。」


その言葉にナヴィアは少し頬を赤らめたが、すぐに真剣な表情を浮かべた。


「これからも帝国を守るために、わたし、もっと頑張るよ!」


ヴィクトールはその決意を受け止めるように頷き、ナヴィアに言葉を贈った。


「君のような人がいる限り、帝国はきっと安泰だ。そして僕も、君をずっと応援している。」



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未来への希望


その夜、ナヴィアは宮殿のバルコニーで星空を見上げていた。これから始まる帝国再建の道のりは決して平坦ではないだろう。しかし、彼女の胸には強い希望と決意があった。


「お父様を助けられたけど、まだまだやることはたくさんあるね。でも、みんながいてくれるから大丈夫!」


ナヴィアは拳を軽く握りしめ、自分自身を励ました。


そこへ、アルマが静かに近づき、声をかけた。


「ナヴィア様、これから先も厳しい戦いが続くかもしれません。でも、私たちはずっとお傍におります。」


「ありがとう、アルマ。わたし、一人じゃないんだよね。」


その言葉に、ナヴィアの顔には明るい笑顔が戻った。


こうして、ナヴィアの物語はひとまず幕を下ろした。だが、彼女の新たな未来はこれから始まるのだった。




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