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最強執事の恩返し~100年ぶりに魔界から戻ってきたら、世話になっていた侯爵家が没落していたので立て直します~
最強執事の恩返し~100年ぶりに魔界から戻ってきたら、世話になっていた侯爵家が没落していたので立て直します~
まんじ
異世界ファンタジー内政・領地経営
2025年05月15日
公開日
11.9万字
連載中
異世界転生した日本人、大和猛(やまとたける)。 彼は異世界エデンで、コーガス侯爵家によって拾われタケル・コーガスとして育てられる。 それまでの孤独な人生で何も持つ事の出来なかった彼にとって、コーガス家は生まれて初めて手に入れた家であり家族だった。 その家を守るために転生時のチート能力で魔王を退け。 そしてその裏にいる大魔王を倒すため、タケルは魔界に乗り込んだ。 ――それから100年。 遂にタケルは大魔王を討伐する事に成功する。 そして彼はエデンへと帰還した。 「さあ、帰ろう」 だが余りに時間が立ちすぎていた為に、タケルの事を覚えている者はいない。 それでも彼は満足していた。 何故なら、コーガス家を守れたからだ。 そう思っていたのだが…… 「コーガス家が没落!?そんな馬鹿な!?」 これは世界を救った勇者が、かつて自分を拾い温かく育ててくれた没落した侯爵家をチートな能力で再興させる物語である。

プロローグ

「ぐわあああああああ!!」


巨体の赤黒い、複数の腕と頭部を持つ化け物。大魔王コリポレが断末魔の声と共に崩れ落ち、そして命尽きた。


「よし!!」


長い戦いだった。そう、100年にも及ぶ強大な大魔王軍との戦い。それに勝利した俺は、自ら果たした偉業にガッツポーズする。


「これでやっと帰れる。エデンに」


俺の名は大和猛やまとたける。日本人だ。正確には、”元”日本人だが。


――元と付けたのは、俺が転生者だからである。


転生先の俺の名はタケル・コーガス。異世界であるエデンで二度目の生を受けた俺は、魔王アスラスを倒し異世界を救っている。


だが、戦いはそこでは終わらなかった。魔王アスラスの裏には、エデン征服を企む大魔王コリポレが存在していたのだ。


コリポレは次元を超える事が出来ないため、直接攻め込まれる心配なかった。

だが今は問題なくとも、大魔王はいずれ魔界からエデンへと乗り込んで来るかもしれない。それを危惧した俺は逆に魔界に乗り込み、そして100年という歳月をかけて奴を倒した。


――そう、これで全てが終わったのだ。


「やはり帰るのか」


背後から声を掛けられ、俺は振り返る。そこには角の生えた黒い肌の男。魔界における反大魔王軍の指揮を執っていた魔族にして、俺の相棒とも呼べる男――ガンヴィーが立っていた。


その姿は激闘に次ぐ激闘でボロボロだった。だがその瞳は力強く輝いている。邪悪なる支配者を倒し、希望という名の未来を掴んだ者の目だ。


「魔界は飯が不味くてしょうがないからな」


魔族の中には、人間である俺をよく思っていない者も多い。なので、下手に魔界に残っても余計な揉め事を起こす種になってしまう。だから俺は帰るのだ。転生先であった、異世界エデンに。


あ、因みに……飯が不味いというのはガチだ。本当に糞不味かった。この100年、それはある意味、大魔王軍との戦いより厳しい物だったといえる。まあ人間と魔族じゃ、味覚が全然違うからこれはしょうがない事だが。


「そう言われると、返す言葉が無いな」


「悪いな。後は頼んだぞ。間違っても、コリポレみたいな他者を抑圧して支配する様な王にはなるなよ」


「分かってるさ」


左手を差し出し、ガンヴィーと強く握手する。別れの握手。別に今生の分かれって訳ではないんだが、お互いのの立場を考えると、もう早々気楽には会えないだろう。


「じゃあな!」


立つ鳥跡を濁さず。握手を終えた俺は、魔法で魔界からエデンへと転移する。


――さあ、100年ぶりのエデンだ。

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