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第22話 クラウディアの嫉妬

「てかヤンデレでいいのかお前は!?」


「何だっていいんだよ!!イケメン+王子で闇抱えてるだけだろ?そっちのが落としがいあるしよお!はっはあー!」

 とヨダレを垂らしながら山賊みたいな顔をしててまじ怖いんだけどこのヒロイン!!


「大丈夫!私のこの巨乳で落ちなかった男なんかお前みたいなどうてー王子しかいねえよ」


「お前…口を慎まないとまじ許さねぇぞ?一応俺王子だし王族なんだからな?」


「何だよ同郷のよしみみたいなもんだろ?いちいちそんなの気にすんなって!」

 いやほんと怖い。絡まれたくない…。

 でもドラグーとホワコンの好物は聞きたい。


「で、ヤンデレを紹介するとして、ドラグーとホワコンの好物は?」


「…ホワコンは簡単だよ…。ネズミか鳥か昆虫とか大体そんなのだな。ドラグーはなぁ…超美人の花嫁だな」


「はああああ!?ドラグーどういうことなの??花嫁って!」


「あれだよ、流行りの花嫁さんの生贄だよ、ドラグーは人型にもなれっし、大体嫁不足なんだよ!ドラグー繁栄する為に嫁が欲しいんだよ、ドラグーはこの世界じゃ滅多にメスが生まれねーから人間から花嫁…生贄を取るの」

 うっそ!!そんな設定なの??


「だからドラグーは適当な村々を襲って美人探して掻っ攫って行くことが昔から多いんだよ。私としちゃクラウディアでも生贄にやっときゃ丁度いいと思ったんだがよ!!」


「冗談じゃねぇよ!誰が生贄にやるか!」


「でも美人なんかいるかねぇ??私はどっちかって言うとプリティー小悪魔系だから。ドラグーから宝珠もらうのは無理だろ」

 くっ!確かに!!好んでドラグーの花嫁になる美人なんかいないだろうな。


「ホワコンの方は任せな!うちの台所よくネズミ出るし捕まえて洗っておくわ!」


「お前それでホワコンのいる場所とか知ってんの?」


「ホワコンならうちの領地の山に棲んでるはずだね」


「なっ!何いいいい!!」


「まぁイエティみたいなゴリラの魔物とか亡霊とかいるけどな大丈夫だろ」


「ぜっ…全然大丈夫じゃなさそうなんだけどおおおおおお!!」

 と俺は叫んだ。

 ていうかネズミとか持ってて逆に失礼じゃないのか?仮にも神獣に。まぁドラグーの美人花嫁よりかはましだろうけど、もし交渉が割れたら…ホワコンにオワコンされるぞ!?


 *


 ツカツカと忙しなく私は部屋の中を何往復もして東屋で話をする二人を待った。


「お嬢様少し落ち着かれては?王子が浮気なんてしませんよ」

 ヘンリックが紅茶の用意をした。


「わ…判ってますわ!!そんなことジークヴァルト様がするわけありませんもの!!でもあの胸デカ女が王子に襲い掛かったら王子が!!」

 あの怪力から逃れることはできないだろう!!


「あー…王子の方が襲われる可能性はありますねぇ」


「でしょ!?あの女!!何をするか解りませんのよ!?大体あの下品なドレスを着て登城するなんて!ここは娼館じゃありませんのよ!?本当に………ヘンリック…私の胸はやはり魅力がありませんの?」

 やっぱり男は胸がデカい方がいいのかと一応聞いてみた。


「普通ですね。むしろお嬢様はそれでいいかと!健康的で!レーナ嬢は確かに大きいです…。でも考えて見てください!レーナ嬢が歳取ったら絶対に垂れてきますね!レーナ嬢をよく見てください!猫背でしょ?あれは胸の重さをカバーしきれず前屈みになっているのです!だから将来垂れますね!」


 クラウディアは半目で


「…何の自論ですの?まぁ貴方も胸をよく見てるのは判ったわ」


「えー?普通見ますよー…ていうか屈むと見えますし」


「ヘンリック…目を串刺しにしましょうか?」

 クラウディアが髪を剣にする。


「遠慮しますう」


 するとジークヴァルト様とレーナ嬢が東屋から歩いてくるのが見えた。どうやら話が終わったらしい。


 ジークヴァルト様は何か疲れている……疲れるようなことをなさったの??

 うう…一体何の話ですの!?やはり妾のお話?レーナ嬢を側室に?


 話してくれるとは言ったけど…。モヤモヤしますわ!



「クラウディア!お待たせ!」


「ジークヴァルト様!何もされませんでしたの?」


「ん?ああ大丈夫だよ…」


「酷いですわぁ!クラウディア様あ!私そんなはしたなくありませんわぁ?」

 とか言いつつ胸をぽよりと持ち上げては下ろしを繰り返すのは何なのかしら!?自慢かしら?


「お前っ…ほんと気持ち悪いな…。いや凄いわ…」


「やだあー!王子ったらぁ!何のことおお?」

 とレーナ嬢はキョトンと首を傾げた。

 ジークヴァルト様はそれを見て溜息をつき説明をした。


「ホワコンの居場所が判ったよ。このレーナ嬢の領地にある山だそうだ」


「その為の確認でしたの?なら二人きりでなくても良かったのでは…」

 と私が言うとレーナ嬢は意地悪く笑い


「あらやだ、それ以外の秘密のお話もしてましてよ?王子と私だけの秘密のお話ですわ!!おーほほほほ!!」

 と高笑いするこの女を切り刻みたい。

 ジークヴァルト様も何を話したのか今は言えないみたいだし…。この女が知ってて私が知らないのはとても悔しい!


「あら?美味しそうなケーキですわ!これいただいても?」

 レーナ嬢がヘンリックが用意していたケーキを発見した。


「どうぞ…」

 と一応進めると甘いものが好きなのかにこにこしながら


「美味しーい!流石王家のお菓子ですわぁ!あらっ…」

 とレーナ嬢は生クリームを胸に溢した。

 ヘンリックとフェリクスさんがガッツリ見ている!!


 ジークヴァルト様は


「あざとっ…」

 と言い目を背けた。


「……」

 ジークヴァルト様はやはり変わってるのかしら?


「クラウディアどうした?」

 はっ!私ったら!いつの間にかジークヴァルト様ばかり見てましたわ!


「な!何でもありませんわ!」


「あっ!もしかしてクラウディア!このベリーが好き?よし俺のもあげよう!」

 と私にベリーを差し出す王子様だが、そのベリーをパクリと横からレーナ嬢が食べた!!


「あっ!!」

 一瞬の隙をつきやられてしまった!


「ふふふいただきましたあ!!王子の関節キッスですわぁ!!」

 とニヤニヤとレーナ嬢が笑う。


「レーナ嬢!どう言うつもりだよ!話はついたのに何で俺とクラウディアの仲を邪魔するんだ!!」

 と言うと


「だってまだ紹介してもらってませんものぉー!それにクラウディア様ったら嫉妬して面白いんですものぉ!!」


「なっ!!」

 相変わらず何て無礼な女なの!?


「ん?クラウディアが俺に嫉妬を?」


「ちちち違いますわ!そんな醜いこと!私は極めて冷静ですわ!」


「怒ってますわよ?髪の毛もブルブル震えて!プフー!!」

 とレーナ嬢は吹き出した。

 私は髪の毛を剣にし彼女の喉元めがけたが、レーナ嬢はそれをヒラリと交わし彼女の座っていた椅子が裂けた。


「お嬢様落ち着いてください!また牢に入りたいのですかっ!?」

 はっ!と我を忘れたのを思い出して裂けた椅子を見た。


「申し訳ありません…」

 するとジークヴァルト様はレーナ嬢に近づき思い切り手刀を額にかました。


 バコ!


 と音がしたがレーナ嬢はケロリとして反対に王子が痛がった。


「なんて石頭だ!!…ともかくこれ以上クラウディアをからかうんじゃない!用が済んだら早く家に帰ってネズミでも捕まえてろ!」

 と王子は怒った。


「…判りましたあ!では王子に鮮血姫様!準備ができましたら我が家にお越しくださいな?それでは失礼いたしまぁーす!」

 と彼女は頭を下げまた谷間が見え、従者二人はそれをガッツリ見て、王子は機嫌悪く横を向いた。

 彼女が部屋から出ると私は王子に言った。


「ジークヴァルト様が御所望なら私もあのような娼婦のような格好をした方がいいのかしら?」


「いや何でえ?クラウディアはあんなのの真似しなくていいからな!!あいつ下品だから!」


「はいっ!」

 それを聞くと私の心は軽くなった。

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