――「凄い量ですね、」
ノックに鍵を開け、佐藤は彼等の姿に目を見張る。
階段の下に物資を下ろし終え、
「俺まだ用事あるんで」
東条はもう一度扉を出ようとする。
「用事?」
「ズボン欲しいんですよ」
「「「あぁ……」」
その切なる願いに同情せざるを得ない二人。
「分かった。俺も行こう」
「了解っす。次行くとこちょっとヤバいかもしれない場所なんで、筒香さんもリュックは二つまででお願いします」
「葵獅でいいぞ。何処に行くんだ?」
「八階です。奥のレストラン街にモンスターが
「分かった。慎重に行こう」
再び中へ入った。
――「……見えます?」
「あぁ、あれはヤバいな」
一番端の階段を下り、徐々に目的地へと近づく二人。以前より強化された彼等の視力は、ずっと奥に見える悍ましい光景を捕えていた。
緑色の身体が蠢き、レストラン街を埋め尽くしている。ここから見えるだけでも、数は優に四十を超えている。
東条は感じていた。その中にヤバいのが複数いる。数は分からないが、恐らく今の自分では勝てない。
「東条、急ごう」
気付けば、握りしめた手が白く変色するほど力を込めていた。葵獅に促され、目についたラックに掛かっている品物を手当たり次第に詰め込む。
距離は充分に開いているが、音を立てないよう最善の注意を払わずにはいられなかった。