目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第7話 買い物に出かける

雲ひとつ無い真っ青な空。数羽の雀が飛び交っている。


遠くでクラクションが鳴る。バスや乗用車の走る音が響く。


ホームでは発車ベルが鳴っている。


咲夜はいつも以上におしゃれをして、駅前のモニュメントの前で

音楽を聴きながら悠を待っていた。

咲夜の服装は、ピスタチオカラーのアーガイル柄のセーターにギャザーワイドデニムを着ていた。


遅れてやってきた悠は、メンズスタイリッシュのベージュを背景に黒の広めのチェック柄、ルーズフィットワイドレッグジーンズを着ていた。


お互いに服装を見て目を丸くして驚いた。


「めっちゃ、可愛いね、それ」


「え、本当? ありがとう。てか悠の服って、まるっきりメンズの服じゃん。

 超かっこいいんだけど」


「そう? かっこいいって言われるの悪くないかな。ありがとう。そういや、この間、モールに行ったんだけどさ、女子トイレ行ったら、ジロジロ見られたよわ。こういう身なりしてるじゃん。多分、トイレ間違ってるよとか思ったんだよね」


 咲夜は、急に変な汗をかいてきた。ものすごくかっこいい悠の隣にいていいのかなと思った。彼氏ができたみたいだ。

 でも違う。女友達なのだから。


「え、あのさ、私、隣いても大丈夫? 釣り合ってる?」


「は? 何の話。隣にいていいに決まってるじゃん。何言ってるのさ。てかトイレの話はスルー?」


「ごめんごめん。だって、何かドキドキしてさ。悠、かっこいいから。私みたいなへなちょこと一緒にいるのが申し訳ない」


「へなちょこ? 何言ってるの、咲夜。ウケるんだけど……」


 悠は笑いが止まらない。咲夜の手をつかんで、まるで彼氏彼女のデートみたいに歩いた。まんざらでもない咲夜は嬉しくて頬を赤くしていた。


「と、トイレの話なんだけど、それ、誰でも間違うと思うよ。悠、女子に見えないし、かっこいい男子だもん。そりゃぁ、周りの人凝視するよ」


「そお? でもそれ見てると面白いんだよね。ちがうぞ? 性別って。女子だからって思っちゃう」


「楽しそうで何よりだけどさ。悠ってそういう気持ちではないんだよね」


「え?」


「男子になりたいとかではないんでしょう?」


「うん、自分でもよくわからないけどね。違うと思うよ。男子は好きになれないけどさ」


「ふーん……まぁ、いいか。かっこいいから」


「ん??」


 悠は意味がわからなかった。でも咲夜の隣にいて、とてもリラックスしていた。はたからみたら、 本当に男女がデートしているようだった。


 ご機嫌のまま2人はお互いのお気に入りアパレルショップに向かった。


 歩行信号機のかっこうが鳴った。横断歩道の人が移動し始めている。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?