悠と咲夜は、大きなショッピングモールで何かいい服は無いかと隣同士、
お店を見て回った。
どのお店を見て回っても同じような色合いのものが飾られている。何ともビビッとくるようなものがなかなかない。これは良さそうと思うとかなり高いものだったりして諦めることもある。
海外で量産しているアパレルショップは、色味がものすごく多いのに、デザインはそこまでシンプルなものが多い。選ぶのも決まってくる。
ジーンズパンツにシャツなんてありきたりかなと考えてしまう。
少しだけ高いがブランドものにしては安いアパレルのお店があった。
そこでウロウロと商品を物色すると、女性ものの服が多いため、ほぼ咲夜が選んでいる。
「あ、これ、いいな。レースついているけど、そこまでじゃない」
シンプルなトレーナー生地に下の方にレースがあしらわれている。
グレーの色に目が行く。
「うん。かわいいね。咲夜に似合うよ」
「こういうのは、悠、興味ないんだよね」
「うん、そうだね。ちょっと女の子っぽいのはアピールしたくないから。着るとしたら、ボーイフレンドタイプのジーンズかな。あと、ストンとしたデザイン。ひらひらは受け入れられないよ」
「これは?」
咲夜は、デニム生地のスカートを見せた。
「咲夜に似合うよ。かわいい。その下にトレンカとかレギンスもありだよね。本当ならば素足を推進したいけど」
「悠、やっぱり男子目線じゃない?」
「スカートは見せてなんぼでしょう。ちなみにレギンスとトレンカは男子受けしないって翼から聞いたよ」
「え、そうなの?」
「やる時、面倒だからだってさ」
「あわわ……悠からそういう話聞くと思わなかった。びっくりした!」
「え? あ、ごめん。翼がすごい話すからアウトプットしちゃった。苦手だった?」
「違うよ、悠と話すのが初めてだからってこと。緊張する」
「あ、そっか。ごめんね」
「ううん。大丈夫。男子受けと女子受けってあるんだね」
「ファッションも男子にモテるかとか女子にモテるかってあるみたいよ? 露出が多いのはもちろん男子だよね」
「あーー、それはね。でも、独占したい男子は露出やめてほしいっていうよね」
「うんうん。そうみたいだね。それって翼から聞いた?」
「うん、私も同じ。色々聞く」
「服選びも頭使うね。私はボーイッシュスタイル多いからそこまで悩まないけど……」
「頭使うけど、楽しいよ。悠の新たな一面見えたし」
「そ? 良かった。買い物終わったらさ、フラペチーノ飲もうよ。今は、桃の味出てるって」
「そうなんだ。うん。楽しみだな。まずは、上の着る服選ばないと……」
咲夜は、どんな服を選んでもかわいいと言ってくれる悠がいて良かったと思った。
楽しい買い物ができて心は満足していた。