学校の昇降口にざわざわと生徒たちが集まっていた。
悠は、いつもの調子でいつも通りに靴箱から上靴を取り出して、外靴に
履き直した。
「なぁ、あんた、スカート履いてるけど男なの?女なの?」
教室に向かおうとすると廊下に見たことある人が壁に背中をつけて腕を組んで立っていた。
「あ」
「……咲夜と一緒にいるんだろ?」
「別に関係ないですよね」
イライラを隠せない琉偉がいた。悠と咲夜が一緒にいることをよく見ていた琉偉は悠に嫉妬していた。
「あのさ、咲夜に変なこと吹き込まないでくれない?」
「は? なんで、先輩にそんなこと言われなくちゃいけないんですか? 関係ないですよね?!」
「いやいや、俺と咲夜は幼馴染だから。しかも、ノーマルだし!! やめて、咲夜を汚すの」
「……幼馴染にそんな権限はありません!!」
悠は琉偉に腕を掴まれて、大きくふりかぶってよけた。
「あれ、悠。おはよう」
「咲夜、おはよう。ギリギリだったね」
咲夜が後ろからやってきた。琉偉は複雑な顔をして、壁際にいた。
「あ、琉偉、おはよう」
あまり会話はしたくなかったが、大人な対応しないといけないなと平然とした顔をよそおった。隣で見ていて無理してるなと悠は感じ取った。
「……お、おう」
後頭部をボリボリとかいた。
「やっさんともっくんがまたカラオケ行きたいってさ」
(あいつら誘えば断らないしな)
「あー、そうなんだ。まぁ、都合があえばね。それじゃぁ、遅刻するから」
咲夜は、悠の隣に近づいて、琉偉のそばには近寄らなかった。
琉偉はなんとなく避けられているかなと感じ取った。
悠は琉偉を睨みつけた。ものものしい雰囲気になっていく。
まるでコブラとマングースのような戦いで雷雲が立ちこめて来そうだった。咲夜は、悠の腕の制服をつかんで教室に向かった。
今は、琉偉よりも悠と一緒にいた方が気持ちが落ち着いている。
チャイムが鳴り響いた。