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第24話 隣国の王の招待



隣国でシャウラの存在が国全体にとって欠かせないものとなる中、隣国の王は彼女を公式に国の守護者として迎え入れるべきだと考え始めた。シャウラを中心に隣国の繁栄が進む一方で、民衆の中で彼女を神聖視する動きが強まりつつあることを受け、王宮内ではその対応について真剣な議論が行われた。



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王宮での議論


王宮の会議室では、王を中心に廷臣たちが集まり、シャウラへの招待について話し合っていた。


「陛下、シャウラ様は間違いなくこの国の繁栄の象徴です。彼女を公式に国の守護者として迎え入れることで、国全体の安定がさらに強固なものとなるでしょう。」

「確かにそうですが、彼女がそれを望んでいるかどうかが問題です。シャウラ様は非常に控えめな方であり、目立つ立場に立つことを好んでおられません。」


廷臣たちはそれぞれの意見を述べ、議論は二分されていた。シャウラを公式に迎え入れることで国の権威を高めるべきだという意見と、彼女の自由を尊重するべきだという意見がぶつかり合った。


「しかし、民衆の間で彼女を神格化する動きが広がっています。このままでは、既存の宗教との対立が避けられないのではないでしょうか?」

「そうだ。だからこそ、彼女を我々の側に置き、民衆に正しい信仰の形を示すべきです。」


これに対し、王は静かに考え込んでいた。そして、やがて決断を下した。


「私自身が直接シャウラ様にお会いし、彼女が何を望んでいるのかを確かめる。国の繁栄を支える存在として、我々は彼女の意志を最大限に尊重しなければならない。」



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王の訪問


数日後、王は少人数の側近を連れて、シャウラが暮らす花屋を訪れた。王が自ら出向くことは非常に珍しく、その行動は国内外で注目を集めた。


「陛下がシャウラ様のもとを訪れるそうだ。これで何か大きな動きがあるのではないか?」

「もしかして、シャウラ様が正式に国の守護者になるのでは?」


民衆の間では期待と興奮が広がっていた。


シャウラの花屋に到着した王は、控えめな態度で庭に立ち、シャウラの姿を待った。すると、花々の手入れをしていたシャウラが気づき、いつもの柔らかな笑顔で迎えた。


「まあ、こんなに立派な方がいらっしゃるなんて……どうされたのですか?」

シャウラは驚いた様子もなく、まるで旧知の友人を迎えるかのように自然体だった。


王は彼女に深々と頭を下げた。

「シャウラ様、私は隣国の王です。突然の訪問をお許しください。」


「王様がわざわざこんなところに……お疲れではありませんか?お茶でもいかがですか?」

シャウラはそう言い、慌てる側近たちを尻目に、彼を花屋の中へと招き入れた。



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王の提案


シャウラが用意したお茶を口にし、王は改めて話を切り出した。

「シャウラ様、あなたの祈りがこの国にどれほどの恩恵をもたらしているか、私は日々痛感しております。国民も皆、あなたに感謝し、敬意を抱いています。」


「まあ、それは嬉しいことですね~。」

シャウラは特に気負うこともなく微笑んだ。


王は続けた。

「そこでお願いがあります。どうかこの国の守護者として、正式に王宮にお越しいただけないでしょうか?私たちはあなたの力を必要としています。そして、あなたの存在が国民にとってどれほど重要かを改めて示したいのです。」


シャウラはその言葉に少しだけ考え込んだ。



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シャウラの答え


しばらくの沈黙の後、シャウラは穏やかに口を開いた。

「守護者、ですか……。それはとても光栄なことですが……私はただ、お花を育てて、皆さんが幸せでありますようにと祈っているだけです。それ以上のことをするつもりはありません~。」


「ですが……!」

王はさらに説得しようとしたが、シャウラは首を振って静かに微笑んだ。


「私はここでの生活が好きです。皆さんが時々訪れてくださるだけで十分幸せなんです~。それに、もし私が目立つ存在になったら、逆に皆さんに迷惑をかけてしまうかもしれませんよね?」


その言葉に、王は彼女の意志の強さを感じ取った。そして、彼女の純粋な思いに心を打たれた。


「分かりました、シャウラ様。あなたのご意志を尊重します。これからもどうか、この国を見守っていただけますようお願いいたします。」


シャウラは微笑みながらうなずいた。

「もちろんです~。私でよければ、いつでもお祈りしますよ。」



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帰還する王


王が王宮に戻った後、シャウラを公式に守護者として迎え入れる計画は一旦見送られることとなった。しかし、王は彼女の自由を尊重しつつも、その力をどう活用すべきかを模索し続けることを決意した。


「彼女が存在しているだけで、この国は守られているのだ。無理に縛るのではなく、彼女の自然な生き方を尊重するべきだ。」


民衆の間でも、シャウラが自由であることが最も自然な形であるという認識が広がり始めた。



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