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第59話 授与の儀式1

「アグ、どうだ?俺に親愛の情はあるか?まあ同姓だ。愛という訳にはいくまい。だが親愛なら持ってくれていると俺はうぬぼれているのだが」


アグアニードはすっと立ち上がるとまっすぐ俺の目を見つめてきた。


「おいらはー、ずうっとノアーナ様が好きー。ノアーナ様になら命もあげられるよー」

「ありがとう。俺もお前が好きだ。大事な同士だ。立場は部下だが俺はそう思っている」

「っ!ノアーナさま…ぐすっ…もう、そんなこと…」


俺はアグアニードの横へいき、力強く抱きしめた。

そして魔力を発現させる。


「っ!!!……魔力が…あれー?」


おそらく一瞬アグアニードの真核に俺の魔力が宿った。

そしてすぐに霧散した。


「アグ、死ぬなよ。ダニー、見ていて危ないようだったら止めてくれ」

「……わかった」


俺はおもむろに自分の手首を手刀で切り裂いた。

鮮血が吹き上がる。


「!!!!!!!!」

「飲め、アグ。何が起こるかわからん。少量で良い」

「!っノアーナさま、なにを?!…くっ。ゴクッ…ぐああっ!!」


突然アグアニードから赤い魔力が噴き出し、それをまるで蛇がとぐろを巻くように漆黒の魔力が覆い囲みだした。


「っ!!!ぐあああーー…くっ…はあ、はあ、…ん、…だいじょうぶー」


肩で息をしながら、何とかアグアニードは立ち上がり、眼を見張る。


アグアニード

【種族】神

【保有色】(深紅・金):〔(漆黒・白銀)(new)〕

【存在値】17119/100000

【固有スキル】『神化覚醒』『権能(力・減退)』〔『神眼』(new)〕


「!!!!…おいらの真核に…ノアーナさまの魔力が…」


出血が続き少しふらつく。

皆が心配そうに駆け寄る。


「待機だ。問題ない。よし、アグ、大きさ覚えておけよ。すまない、痛いぞ」


俺はアグの腕に3センチほどの切り傷を作る。

アグの血が噴き出しその傷に俺の血を浴びせる。


刹那アグの腕から肉の溶けるようなにおいが立ち込めはじめ、白い煙が上がり始める。


「ッッッ!!!グワアアアアアアアアアーーーー」

「静!!」


絶叫する痛みに襲われた表情で、アグの時間が泊まる。


「皆、アグにできうる限りの治療を頼む…っ…ふう…すまん」


「ノアーナ様!!先ほどからっ!いったいっ!!な、なにを?!」


掴みかかるかのような勢いで、血相を変えモンスレアナがアグに安定を発動してくれた。他の皆も魔術や古代魔法などで対応してくれている。


俺はふらつきながらも椅子に座り、アグの様子を見る。

アグは程なく回復し、自分の魔力を確かめた。


「…ほとんど増えてない?…さっきは…」


周りに鉄のような血の匂いが立ち込めている。

茜はがくがく震え、涙を浮かべている。


「禁呪だ。俺の魔力を譲渡した。いや植え付けた」


「…なぜ?……わからない」

「先にっ!説明してくださいまし。飲ますなら最初から…」


「ダメだ。それでは感情が揺るがない」


「!…ノアーナ様、それでも儀式に影響のない範囲でお願いしたいのですが。私たちは見てしまいました。おそらくここまでの衝撃は受けないでしょう」


「ああ、だから最初にアグに行った。お前たちには別の方法がある。だから最初に聞いた。偽らないでくれ。俺を愛してくれているか?愛されてもいい、そう心から思えるか?」


会議室を静寂が支配する。


俺は皆を優しい目で、想いを込めて見渡した。

皆、恥ずかしい様な、憧れるような、蕩けるようなそんな目を向けてくれる。


「ありがとう…茜、二人で話がしたい。俺の隠れ家に行きたい。嫌なら今言ってくれ。そうでなければ始まらない」


茜は急転する展開に戸惑いながらも、俺を見つめて頷いてくれた。


「うん。私にできることは何でもするよ。光喜さん」


※※※※※


茜を伴い俺は隠れ家へと飛んだ。

緊張しているのか、茜の表情が硬い。


「まあ、座ってくれ…紅茶飲むか?」


こくりと頷く。

俺は静かに紅茶を入れ茜の前に置く。


「最初の時はイチゴのショートケーキだったな。ははっ、あの時の茜、小学生みたいだった」


思い出したのか、茜の顔が上気する。


「しっ、知らなかったんだもん!…食べ方……イジワル…!?」


俺はそっと茜を抱きしめる。

茜の柔らかい体に、俺の鼓動が早くなるのを感じた。


…いい匂いがする…ああ。

やっぱり好きだ。


「!?こっ、こっ、こっ…」


そして可愛らしい唇に、俺はゆっくりと長めにキスをした。


「ん、ん♡…んう…んんん…」

「茜、愛してる。一緒に旅をして、どんどん好きになっていったよ」


優しく茜の髪をなでる。

ビクッと体を震わす。


俺は茜の柔らかい場所にそっと手を這わせ、手に伝わる感覚に顔に熱が集まるのを感じ、また茜にキスをする。


今度はもっと長くゆっくりとキスをし、茜を味わうように、何度もついばむ。


「んんんんうう♡‥んん…んう…んんん♡」


手を後ろに回し、今度は可愛らしい茜のお尻に手を這わす。

柔らかさと程よい弾力に、背中に電気が走るような快感を覚えた。


「あんっ♡あああ…んうう?…んん♡…んんん…はあ…はあ♡」


そして何度も何度もキスをし続け、茜の唾液を吸収した。


※※※※※


茜はソファーでぐったりとし、先ほどの激しすぎるキスを思い返した。


「…蕩けそう…」

「…すごいきもち…いい♡……」


ノアーナはそんな茜を見て優しく笑う。


「茜、愛している…とても可愛かった…ありがとう。俺を好きになってくれて」


そういって優しくキスをする。


「ん♡…」


 どうしよう、もう、その…えっと…次は…ベッド?!!!


「茜、送るよ。会議室に行こうか」


「………………へ?」


「今日はここまでだ。これ以上だと俺が我慢できない」

「おまえを雑に扱いたくないんだ。愛してる」


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