スーパースーツに身を固めたタカナシさんは無敵である。
縦横無尽に空を飛び回り、地上での移動もチーター並の速度で駆け抜ける。
片手で軽々4tトラックも持ち上げてしまうし、衝撃波を放てば周囲にいる人たちは無傷ではすまない。
今日もスーパースーツを着たタカナシさんは空を飛んで出社。
空から眼下に広がる様々な街の光景。
高い木の枝に風船が引っかかってしまい泣いている子供。
ハイヒールが折れて右往左往している女性。
重い荷物を抱え、苦しそうに階段を登るおじいさん。
でも特にタカナシさんはその人たちへ手を差し伸べることはしない。
なぜなら、特に慈善事業でスーパースーツを来ているわけではないからだ。
なんなら、たまたま道端に落ちていたのを着てみたら、それがスーパースーツなだけだったからだ。
別に正義の味方でもなんでもないし、スーパースーツを着ている理由も通勤が楽になるから、それだけ。
地上に降りたら、ちゃんとスーパースーツからフォーマルなスーツに着替える。
そのままだと会社の備品を壊してしまいそうで危ないし、第一、ものすごく目立ってしまって非常に恥ずかしいから。
【スーパースーツ】