「講評」━━第十八回文壇社新人賞ライトノベル部門より抜粋。
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「君の小説は死者すら蘇らせることができるかもしれない」
「神の領域に到達しているといっても過言ではない」
総評されたのは新人作家、南方健三(本名・南方健次)。俺の書いた処女作の「ロストヴァージン・ノベリスト」はかつてないほどに、新人賞としては異例なほどに評価を得た。当時の俺は少しだけむず痒くも、その評価を真摯に受け止めていた。それを皮切りに、破竹の勢いで書いて、書いて、書きまくっていた。作家としてそれなりに成長し、地位を築いてきた頃だった。
その小説。いや、最後通牒にも似たような熱烈な恋文。文壇社第二十三回新人賞ライトノベル部門で異色の放っていた作品。かつての自分の「影法師」のような唯一人だけを「殺さんとする」小説。そう。突如として現れた新人作家・喜多方南の「小説家殺し。」によって俺という小説家は見るも無惨に殺害された。
それから数年。俺……南方健三は小説家として全く売れなくなっていた。そう。あの小説。
「小説家殺し。」を読んでから、俺は動かぬ屍となった。