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第6話

 次の日も変わらず外は暗い。ルフは見張り番の人に狩りに行くと嘘を吐き、アランの所へと向かっていく。


 今日もランタンの明かりを灯しながら、ぼうっとしているアランを見つけると早足で近づいてく。


「よっ、アラン!」


「ルフか。本当に来たんだな」


「なんだよ。俺は嘘吐かないぞ」


 アランの言い方に不満そうにルフは唇を尖らせて隣に座る。


 その様子にアランは小さな笑みを浮かべたが、ルフは気付くことはなかった。


 他愛のない会話を続けていると、アランが話題を変えた。


「そういえば神の箱というのはどんなものなんだ。いや、箱なのは分かるが、どんなものなのかと気になってな」


「あー……、神の箱かー。俺もよく分からないだよな。アランみたいに知識があるわけじゃないし」


 話して分かったことだが、アランは好奇心旺盛だ。異教であるイグニス教に対しても質問をよくする。


 だからか、イグニス教に関わりが切れない神の箱に関しても興味を抱いたのだろう。


 しかし、ルフは神の箱をよく知らない。何故、自分が力を捧げられたのかも分からない。神の力だと言い切ればいいが、そうではないのかもしれないとアランと話していて感じ始めた。最もそんなことを村で言えば叱られてしまう。


「そうだ! 神の箱を見に行けばいいんじゃないか?」


「はっ?」


「神の箱を知りたいならいけばいいんだ。俺頭いいかも」


「いや、神聖な場所なんだろ? 村人以外近づけないんじゃ」


「いや、見張りとかいない。バレたらバレれた時さ」


 楽観的なルフに対して大丈夫かコイツと視線を送るアラン。そんなこと気にした様子はなく立ち上がると、ルフはアランの方を向く。


「ほら! 善は急げだ。行こうぜアラン!」


「……分かったことが一つある。ルフオマエはバカだ」


 呆れた様子で言いながらもアランは好奇心に負けてか立ち上がれば、テントとランタンを片づけた。

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