ルフが村に着くと入り口には耳まで隠せる白い防寒帽。赤く後ろでリボンしたマフラー、薄茶色コートにフリルがついた赤いミニスカート、赤いリボンのついた白いロングブーツを纏ったベルが腕を組んで待っていた。
「遅い! いつまで狩りをしているの!」
「ご、ごめん。トビーも見つけられなかったから帰りにくかったんだよ」
そんな言葉など知らないとばかりに不機嫌オーラ全開のベルに、引き気味のルフ。
あまりの怖さに逃げたい気持ちもあるが、村の中じゃ逃げられない。
ベルは逃がさないとばかりにルフの頬を引っ張ってテントの裏まで連れていく。
「いだだだだっ!」
「アタイを置いていった罰よ。で、どうだったのケラーの男」
誰もいないテント裏まで着くと頬を離す。先ほどのやり取りはケラー教に会いに行ったルフを気遣ってのことだった。
しかし、置いていかれたことに腹を立てているのだろう。ベルは手を腰に当ててジト目で睨みつけていた。
「ベルがいなくなったら目立つだろ。言わなかったのはごめんだけど。やっぱりいい奴だったよ。色々教えてくれるし」
「ふーん。まぁ、ルフ騙されやすそうだもんね」
「どういうことだよ……」
「仲良くできるならよかったんじゃない? ルフ最近つまんなそうにしていたし。どうせ明日も行くんでしょ」
「えっ、なんでバレたんだ」
「幼馴染を舐めないでよね!」
言ってないのに明日会いに行くことをバレていることに驚くルフに対して、得意げに口をあげているベル。
何も言わなくても察してくれる距離感が居心地がよかった。
だが、ベルを連れていくと村長の娘ということもあり目がある。明日も連れていけないかなとルフは思いながら、水汲みをしに行くのであった