「ふぁ~、よく寝た」
テントの中から出てきてルフは大きく背伸びをしながら、見張りをしているであろうアランの所へと向かうが様子がおかしい。どうしたんだと近づいてく。
「おはようアラン。様子がおかしいがどうしたんだ」
「あぁ、おはようルフ。いつもならアイツが料理をしている時間だが、出てこない。オレが見に行くと怒るだろうからルフ見に行ってくれないか」
そう言われてルフは周りを見渡した。
確かにいつもならば、ベルがご飯を作っている時間だが肝心のベルが見当たらない。
「分かった。様子を見に行くよ」
「その間軽い飯を作っておく」
「うん、頼んだよ」
ルフは女用のテントへと向かっていき、アランは念のため腹の足しになるスープを作り始めた。
「ベル。もう起きる時間だよ」
テントの前でベルに声をかけてみるも返事がない。
不安を頭に過ぎらせながら、もう一度声をかけるもやはり反応がない。
「ベル。入るよ?」
反応がない以上、入って確認するしかないと考えたルフは断りをいれた後にテントの入り口を捲る。
すると顔が赤く息切れを起こしているベルを発見し、ルフはベルに駆け寄る。
「ベル! もしかして熱を出したのか!」
「うるさいわよルフ……。寝たら治るわ……」
いつもの覇気がある声ではないベルにルフは心を苦しめられた。
ベルの額に手を当てると冷えた世界ではあり得ないぐらい熱いものであった。
「アランにも言わなきゃ。ベルは寝てて」
「……ごめん」
「いいんだよ。病は誰でも罹るものだから」
自分の情けなさに顔を布団で隠して見せないようにするベルを見て、ルフは唯一出ている頭を優しく撫でればベルの身体は軽く震えた。
アランに伝えることもあるが、ベルの心情を考えてルフはそっと静かにテントから出ていった。