「今日はノマール祭だ。今回は客人もいるから、機械からコアを奪い、必ず皆でお祝いをしよう」
村長の掛け声と共に村の男達は手を掲げて声をあげる。その中に混じるようにルフ達五人も混ざっていた。
本来は男性しか行かないのだが、ベルがアタシも行きたいと言い出したので、特別にベルとソフィアも同行することになったのだ。
旅で何度か機械こと鉄の悪魔とは、対立したことがあるが、ルフはいつも思う。
あの鉄の塊の手によって殺されてしまうんじゃないかと言うことを。
アランと最初に会った時、アランがいなければ自分は死んでいただろう。
その経験からもしかしたら、無意識のうちに恐怖を抱いているのかもしれない。
だとしても、太陽へ近づくのならば死の恐怖すら乗り越えなきゃとルフは言い聞かせた。
村の男性達がここにいるかもしれないという目安を共有している時、ルフの服を引っ張る人物がいた。
一体誰だろうと見てみると、ソフィアだった。意外な人物にびっくりしていると、ソフィアは誰にも聞けれないように耳打ちする。
「ルフちゃん。あんま無理しちゃダメよ? 周りは気付いていないけど顔色悪いで」
「う、うん。ありがとう。無理はしない」
「貴方聞き分けがいいように見えて意外と頑固なとこあるからね。今は信じとくよ」
ルフの反応を見れば困ったような笑みをソフィアは浮かべて、手をひらひらと振ればベルとローの所に行き二人の会話に混ざり始めた。
医者ということもあり、人のことよく見ているのだなと感心するのと同時に、そんなにも顔に出ていたんだと申し訳なく思う。
気合い入れなきゃと自分の頬をパチンと軽く叩けば、決まったようで動きがあった。
「今から西に五百メートル先にいるであろう機械のコアを獲りに行くが大丈夫か?」
「えぇ、勿論。アタシはいつでも準備万端よ」
「ぼ、ぼく、頑張ります」
「もっちー! 怪我しても私が治療するからね」
「大丈夫。行ける!」
ベル、ロー、ソフィア、ルフはそれぞれ返事をし、アランは静かに頷いただけであった。
それを見たリーダー格の男は気をよくしたようで、笑みを浮かべた。
「よし、いいようだな! 祭りに必要とはいえ命は大事にな。俺達もサポートはする」
そう言えば男達はリーダーに続くように雄たけびをあげる。
全員がアランのような謎めいた武器を持ち合わせている。
恐らく自分達のモイラに匹敵する威力などが兼ね備わっているのだろうなとルフは感じた。
歩き出した村人達の後を追うように、五人は後ろをついていく。