暫くの間、ルフ達はその場に留まっていた。アランの心の傷を癒す目的もあったが、自分達の整理をつけたかった。
太陽を見つければアラン以外の存在は、太陽の光によって死んでしまう。
夢が叶う代わりに死を受け入れるか、夢が叶わないが生を受けるか。
前まで賑やかだったご飯も今は静かなものだ。
それが三日続き、二回目のご飯の時、踏み出したのはアランであった。
「オレだけが地上に行き、カメラで太陽を撮ってこようか」
四人はアランの顔を見つめた。アランは以前と変わらない無表情に近いものだった。
アランからしたら、一番被害が少ないと考えての提案だったのだろう。
死んだら終わりだからというのは、アランが痛いほど分かっていたからだ。
「嫌よ」
その案を否定したのはベルであった。ベルのレモンイエローの瞳は、静かに燃えていた。
「アタシは死んでも太陽を見に行くわ。だから、連れていきなさい」
「だが……」
「アタシが行くのよ。アタシの死に方はアタシが決めるわ。誰が何と言おうと辞める気はないから」
止めようとするアランに対してベルは遮るように意思を貫く。
その姿に揺らいでいたルフの心はますます揺らぎ始める。
太陽を探しに行こうと言ったのは自分だ。なのに、自分は死が怖いから動けずにいる。
なんて情けないことか。
そんなルフに対してベルは真っすぐに見つめる。
「ルフ。アタシが言ったから行くと言うなら殴るから。アタシはアンタの死を背負う気はないわ。自分の生き方は自分で決めて」
幼馴染故の勘づいたのだろう。ルフの弱い部分を知っているからこそ、あえて突き放すベルにルフは縮こまる。
本当はベルが行くと言うならとか言って流されたかった。
そしたら、楽に過ごせる気がした。きゅっと締め付けられる心を誰にも見られたくなくて、ルフは一番にテントに戻る。
「寝て起きたら行くわよ。アランはルフに伝えておいて」
「いいが、本当に行くのか?」
「えぇ、二言はないわよ」
「分かった。ソフィアもローも考えておいてくれ。オレは生に縋ることは恥だとは思わない。自分が納得できる答えを見つけてくれ」