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千年ぼっちの魔物と、友達がいらないふりした私
千年ぼっちの魔物と、友達がいらないふりした私
あいすらん
ホラーホラーコレクション
2025年05月22日
公開日
1万字
完結済
少女の叫びが解いたのは、千年の封印と凍てついた魔物の心。 やっと友達ができました。人間じゃないけどこの際贅沢は言いません 限界集落の孤独な女児に生まれて初めての友達ができた! 小学生のお兄ちゃん5人組。 喜びも束の間、彼らは祠の前のおっちゃんに石つぶてを投げるというハードすぎる遊びを開始する。 ついていけないぼっち女児。 しかし、ひょんなことから祠を壊してしまい、スプラッタな事件が巻き起こり……! どこか冷めてるぼっち女児と祠の魔物の出会い短編。

第1話 プロローグ

 平成中期。

 私は、おーい、と叫べば、こだまが10往復するくらい山奥の、限界集落に住んでいた。

 教員である両親は揃ってハードワーカー。

 山を下りねば子供はおらず、いつも教員住宅で一人ぼっち。

 庭の隅で、石ころ相手におままごとをしたり、空想の動物たちを愛でたり。

 時折、遥か下にある国道を眺め、

「あの車の中には人間がいる……人間が……うう、人間……」

 とつぶやきながら唇をかむ。

 齢6歳にして、私は人との関わりに飢えていた。

 そんなある日の昼下がり、眼の前に5人の男児が現れた。

「お前が先生の娘か。全然似てねーな」

「ゴリラの娘にしちゃー可愛いのう」

 庭にいた私を取り囲んだ、いかにもわんぱくそうな父の教え子たち。

 いがぐり頭のタケシ君がボスで、それ以外は取り巻きだろう。

 彼らの醸し出す空気からは明確なヒエラルキーが漂っており、かすかな違和感を覚えてしまう。

 しかしそれも一瞬だった。

 タケシ君が言ったのだ。

 膝を曲げて、私と視線を合わせて。

「俺らと遊ぶか?」

 ……と。

 のちに、私はこう振り返る。

 それは一筋の光だった、と。


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