あまりに突然の話に、何がなんだか分からなくて、
ただでさえのんびり屋で鋭くはない要子は、頭が混乱してしまい、
二階の自分の部屋に閉じこもってしまった。
2人の姉が、心配してるのか内心は面白がっているのだろうけれど。
「要子、、大丈夫、、?!」
「私は絶対、行かないから!!
お姉ちゃんたちのどちらかが行ったら?
そうよ、そうしてよ!」
そこへ、両親が入ってきて、6畳ほどの狭い要子の部屋はむっとしてきた。
「要子、ちょっとだけ行ってみたら?
で、少ししてから、やっぱりやめるって、戻ったら?
結納金一億って言ってたでしょう。
なかなかない話よ!
予備校なんて辞めて、お嫁入りしなさい!」
「ママは、私よりお金なの?!
ひ、ひどい親ね、、
聞いたこともない国よ、ファンタジー??
ふざけてる!!
南洋の島国?
私が食べられてしまってもいいの?
だいたい、変よ! いつ私を見たの!?
私を食べるつもりよ!」
要子の両親と2人の姉は、大笑いし始め、なかなか笑いが収まらない様子で、
要子は余計に腹がたってくる。
受験を目の前にして、必死で勉強してきたのに、
家族が家族旅行といって、みんなでカナダに行ったり、グアムに行ったり楽しんでいる時も、
1人家に残って勉強してきたのに。
ひどい家族だと思う。
2人の姉は街の音楽教室でピアノを教えている母に似て、
美人でスタイルも抜群に良い。
反して、要子は取り得がなく、
区役所に勤めている父にも似ず、
要子は小さな頃は、自分はもしかして、貰いっ子かもと密かに考えていた。
「要子、突然の話ですもの、ママもパパも断ったわよ、
要子は勉強がしたいのよね、
何とかいう、数学の先生に心酔してるのよね、
だから、なかなか入れない大学に受かってるのに、そこを蹴って浪人したのよね、
よーくわかっててよ、、。
お父さんとお母さんは断ったのよ、
そこへ、お姉ちゃん達が入ってきて、
みいちゃんが、それ、私が行きますって、
そう言ったのよ、でも相手様は要子でなければダメなんですって!
考えてみたら?
今夜来た人は交渉人ですって、、
明後日、本人が小型ジェット機に乗って来るらしいわよ。
王様よ! 要子が王妃になるのよ!
そんなラッキーな話ある?
小さな国でも、王様なのよ!素敵よ!
それにね、側室が2人いるって、、
いいじゃない? まるで江戸時代みたい!」
…………… つづく ………………