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第3話 社交界への復帰

3-1: 招待状と新たな試練


フィリーネの領地改革が順調に進む中、その成功は徐々に社交界でも話題になり始めていた。絹織物の復興や農地の再生が都市部で評価され、彼女の名は「荒廃した領地を見事に立て直した若き令嬢」として知られるようになった。それまで「婚約破棄された可哀想な娘」と見られていた彼女が、今や注目の的となっている。


そんなある日、フィリーネの元に一通の招待状が届いた。それは、王宮主催の舞踏会への招待だった。


「お嬢様、これは素晴らしい機会かもしれません。」


執事のトーマスが微笑みながら言う。しかし、フィリーネの表情は曇ったままだった。招待状を手に取ると、その送り主の名前を見て一瞬ため息をつく。送り主は王太子エリオットだった。


「私を見下し、婚約を破棄した相手の招待状……。」


フィリーネの声には、かつての痛みが微かに残っていた。だが、すぐにその表情を引き締める。彼女はすでに過去の自分ではない。王太子の一言で心を揺さぶられるほど、弱くはなかった。


「行きましょう。」


フィリーネのその言葉に、トーマスは驚いた表情を浮かべたが、すぐに深く頭を下げた。


「承知しました。お嬢様が自らの力を示す場としてふさわしいでしょう。」



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準備と義母の妨害


舞踏会に向けて、フィリーネは準備を進めた。彼女は普段の控えめなドレスではなく、自身の領地で生産された絹織物を使った特注のドレスを仕立てることにした。そのデザインはシンプルでありながら気品に溢れ、彼女の美しさを際立たせるものだった。


「これで十分です。過剰な装飾は必要ありません。」


フィリーネはドレスを確認しながら、自信を込めてそう呟いた。


しかし、その知らせを聞きつけた義母が、またしても妨害に動き出した。舞踏会への招待を受けたフィリーネを貶めるため、義母は王太子に直接働きかけ、フィリーネが「自らを誇示するために舞踏会に参加しようとしている」と噂を広めた。


「こんな噂で私が揺らぐと思っているの?」


義母の意図を知ったフィリーネは、ただ冷静に言い放った。かつては義母の言葉や行動に怯えていた彼女だが、今や彼女にとって義母はただの「障害」でしかなかった。



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舞踏会への決意


舞踏会当日、フィリーネは自らのドレスに身を包み、鏡の前に立った。その姿は、かつての控えめで臆病な少女とは全く異なり、自信と気品に満ちた一人の女性だった。


「私はフィリーネ・ヴァルモント。この地位も名誉も、すべて自分で築き上げたのだわ。」


彼女はそう自分に言い聞かせながら、舞踏会への準備を整えた。そして、出発の直前、執事のトーマスが声を掛けた。


「お嬢様、この舞踏会は単なる社交の場ではありません。これまでのご努力を示し、名誉を取り戻すための場でもあります。どうか、ご自身の力を信じてください。」


トーマスの励ましに、フィリーネは微笑み返した。


「ええ、分かっています。これは私の新たな人生を切り開く一歩になるでしょう。」



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舞踏会への到着


舞踏会の会場に到着したフィリーネは、その美しい姿で周囲の視線を一身に集めた。彼女が身に着けているドレスは、領地で復興させた絹織物を使ったものであり、それを知る者たちからは驚きと称賛の声が上がった。


「彼女が、あのフィリーネ・ヴァルモント? 婚約破棄された令嬢とは思えない……。」


「これが彼女の領地で作られた布なのか。素晴らしい出来栄えだ。」


フィリーネは周囲の視線を気にせず、堂々とした態度で会場を歩いた。かつての自分なら、その視線に怯えたかもしれない。しかし今の彼女には、その視線すらも自分の力を証明するものに思えた。


「私を見下していた人たちが、今こうして私を見ている。」


フィリーネは心の中でそう呟きながら、胸を張った。



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王太子の視線


会場の中央に進むと、遠くから王太子エリオットの姿が見えた。彼もまた、フィリーネの姿を見つけて驚いたような表情を浮かべていた。


「まさか、ここまで変わるとは……。」


エリオットはフィリーネに近づこうとしたが、彼女はそれを気にする素振りを見せなかった。彼女の目指すものは、ただ自分自身の名誉の回復であり、過去の婚約者との再会に感情を揺さぶられるつもりはなかった。



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新たな舞台へ


フィリーネは舞踏会の中心に立ち、誰にも臆することなく堂々と振る舞った。その姿は、かつての自分への勝利宣言であり、彼女が新たな人生の舞台へと踏み出したことを象徴していた。


「この場に立つのは、誰かに認められるためではない。自分自身が自分を誇れるためなの。」


彼女の心には、揺るぎない決意が宿っていた。



3-2: 再会する王太子


フィリーネが舞踏会の会場に入ったとき、広間はすでに多くの人々で埋め尽くされていた。煌びやかなドレスと装飾が輝きを放つ中で、彼女の姿もまたひときわ目を引く存在となっていた。領地で復興した絹織物を使ったドレスは、繊細でありながら上品な輝きを放ち、彼女の美しさをさらに際立たせていた。


その場にいる誰もが彼女の姿を一瞬見つめ、囁き声を交わす。


「彼女が、あのフィリーネ・ヴァルモント?」

「まさか、あの婚約破棄された令嬢とは思えない……。」


その声に耳を傾けながらも、フィリーネはどこまでも堂々としていた。自分を見下していた人々に怯える必要はない。今や彼女は、自らの力で立ち上がり、成果を見せているのだ。


「私は、もう過去の私ではない。」



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エリオットの視線


広間の中央に進むと、フィリーネの視線に王太子エリオットの姿が入った。彼もまた、遠くから彼女をじっと見つめている。かつての婚約者として、フィリーネを誰よりもよく知っているはずの彼が、その変貌に気づかないはずがなかった。


エリオットは驚きの表情を浮かべながら、そっと側近に耳打ちをした。


「本当にあれがフィリーネなのか?」

「はい、間違いありません。ですが……噂の通り、見違えるような変わりようですね。」


側近の返事にエリオットは短く頷いた。そして、迷うことなくフィリーネに向かって歩み寄った。



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王太子との再会


「フィリーネ、久しぶりだな。」


彼の声が背後から聞こえた瞬間、フィリーネは立ち止まり、ゆっくりと振り返った。その瞳には、かつて彼に向けていた憧れや戸惑いの色は一切なく、ただ冷静さだけが宿っていた。


「エリオット殿下。お招きいただきありがとうございます。」


フィリーネは深々と頭を下げ、形式的な挨拶を交わした。その態度にエリオットは一瞬言葉を詰まらせた。彼女の態度は礼儀正しくも距離感を感じさせ、かつての控えめで従順な彼女の姿を完全に失っていたからだ。


「いや、招待したのは私だが……ここまで美しくなった君を見るとは思わなかった。」


エリオットの口調には、かすかな感嘆が混じっていた。彼はさらに一歩近づき、彼女の姿を改めて見つめた。


「以前の君とはまるで別人だ。かつての地味な君が、こんなにも魅力的になるなんて。」


その言葉に、フィリーネは微笑むことなく淡々と答えた。


「殿下がおっしゃるように、私は変わりました。そして今、私がここに立っているのは、殿下や他の誰かに認めてもらうためではありません。」


フィリーネの冷ややかな声に、エリオットは動揺したように眉をひそめた。かつて彼が知っていたフィリーネなら、このような毅然とした態度を取ることは決してなかったからだ。



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エリオットの戸惑い


「君は本当に変わったな……。それも悪い意味ではなく、だ。」


エリオットは少しばかりの余裕を取り戻し、微笑みを浮かべて言った。しかし、その言葉にもフィリーネは揺らがなかった。


「それはありがとうございます。ですが、私にとって重要なのは、領地の人々が私をどう見るかだけです。」


その返答に、エリオットの表情はさらに曇った。かつて婚約者として支配できていた彼女が、今や全く手の届かない存在に変わってしまったことを実感していた。


「……私たちは、まだやり直せるのではないか?」


突然の提案に、フィリーネは一瞬驚いたものの、すぐに冷静さを取り戻した。


「それはご冗談でしょうか、殿下。」


彼女の言葉には冷たさが滲み、エリオットは返答に詰まった。


「私は婚約破棄を受け入れた時点で、すべてを忘れると決めました。過去に戻るつもりは一切ございません。」


フィリーネの毅然とした態度に、エリオットは完全に困惑した様子を見せた。



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彼女の成長


その後、エリオットはしばらくフィリーネに話しかけ続けたが、彼女は終始礼儀正しくも距離を保った態度を崩さなかった。彼が過去の婚約を後悔していることが明らかであればあるほど、フィリーネの中で冷静な決意が固まっていった。


「私はもう、あなたに振り回されることはない。」


それが彼女の胸の内にある確固たる思いだった。エリオットとの再会は、彼女にとって過去と完全に決別するための重要な一歩となった。



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周囲の注目


エリオットとのやり取りを見守っていた他の貴族たちもまた、フィリーネの毅然とした態度に驚きを隠せなかった。かつての「王太子に捨てられた可哀想な令嬢」という評価は、この舞踏会の一夜で完全に覆った。


「彼女はただの婚約破棄された娘ではない。むしろ、今の王太子妃にふさわしいのではないか?」

「いや、それよりも彼女は一人の独立した貴族として輝いている。」


囁き声の中、フィリーネは堂々とした姿勢を崩すことなく、舞踏会の中央で一人静かに立っていた。


「私は私の力でここにいる。それを誰にも否定させない。」


彼女の中で過去への未練は完全に断ち切られ、新たな未来への扉が開かれていた。



3-3: 侯爵レオナードとの出会い


エリオットとの再会を終え、フィリーネは舞踏会の会場を静かに歩いていた。エリオットとの会話で生じた疲労感を感じながらも、その表情には疲れを見せず、気品を漂わせていた。周囲の視線は未だ彼女に集まっていたが、フィリーネは意識することなく堂々としていた。


そんな彼女に、見知らぬ男性の声がかかった。


「お一人ですか?」


振り返ると、そこには柔らかな笑みを浮かべた一人の男性が立っていた。深い青のタキシードを身にまとい、端整な顔立ちが特徴的な彼は、落ち着きと知性を感じさせる雰囲気を持っていた。


「ええ、そうですが……あなたは?」


フィリーネが尋ねると、彼は軽く頭を下げた。


「レオナード・フェリクス侯爵家の次男、レオナードと申します。貴女がフィリーネ・ヴァルモント嬢であることは存じています。」


「私のことをご存じとは、光栄ですわ。」


フィリーネは丁寧に微笑みを返したが、内心では少し警戒心を抱いていた。初対面で自分の名前を知っている相手には、どこか慎重にならざるを得ない。



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レオナードの印象


「貴女の領地改革の噂は、私も耳にしています。荒れ果てた土地を短期間で再生させたと聞きました。興味深い話です。」


レオナードは飾らない口調でそう言った。その声には、表面的な称賛だけではなく、本当に興味を持っている様子が伺えた。


「ありがとうございます。ただ、まだまだ改善の余地が多いのが現状です。」


フィリーネは控えめながらも、彼の言葉に感謝を示した。彼女が過度に自慢をすることなく、現状を冷静に把握している姿勢に、レオナードは好感を抱いたようだった。


「それでも、貴女の行動力と決意は素晴らしいと思います。貴族としての責務を果たそうとするその姿勢、私も見習わなければなりませんね。」


その言葉に、フィリーネはわずかに驚いた。多くの貴族が自分の地位や名誉を守ることに必死な中で、彼のように率直に「責務」という言葉を口にする者は少ない。


「そうおっしゃる貴方も、きっと立派な方なのでしょう。」


フィリーネがそう返すと、レオナードは少し困ったように微笑んだ。


「どうでしょうね。ただ、私は貴女のような実績を持っていない。むしろ、貴女が私を導いてくれるかもしれません。」


彼の言葉は冗談めいていたが、その中には真摯さも含まれていた。



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初めての共感


二人は自然と会話を続けるうちに、お互いの考え方や価値観が近いことに気づき始めた。フィリーネが領地改革を始めた理由や、その過程での苦労を話すと、レオナードは一つひとつ丁寧に耳を傾け、時折的確な意見を述べた。


「貴族である以上、領民の生活を支える責務がある。それを放棄しては、存在意義がありませんよね。」

フィリーネのその言葉に、レオナードは深く頷いた。


「まさにその通りです。しかし、そう考える貴族がどれほどいるのか……残念ながら少ないのが現実です。」


二人の会話は、次第に互いの信念を深く理解するものとなっていった。レオナードの率直な意見や誠実な態度に、フィリーネは次第に心を開いていった。



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エリオットとの対立


その時、遠くから王太子エリオットの視線が二人に向けられていることに気づいた。彼はフィリーネとレオナードが親しげに話している様子を見て、不快感を露わにしていた。


「エリオット殿下は、どうやら貴女に興味を持ち続けているようですね。」

レオナードが小声でそう言うと、フィリーネは苦笑を浮かべた。


「彼の興味は、私ではなく『変わった私』へのものです。今さら過去の関係に戻るつもりはありません。」


フィリーネの毅然とした言葉に、レオナードは満足げに微笑んだ。


「貴女のその強さ、私はとても素晴らしいと思います。もし何か困ったことがあれば、どうぞ私に頼ってください。」


彼のその言葉には、ただの形式的なものではなく、真剣な思いが感じられた。



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新たな支え


レオナードとの出会いは、フィリーネにとって大きな安心感を与えるものとなった。これまで一人で戦い続けてきた彼女にとって、同じ価値観を持つ人間が現れることは予想外の出来事だった。


舞踏会が進む中でも、彼女はふと彼の言葉を思い出していた。


「何か困ったことがあれば、私に頼ってください。」


その言葉に、これまでずっと孤独だったフィリーネの心に、初めて小さな支えができたように感じられた。


「彼に頼ることはないかもしれないけれど、同じ方向を向いて歩ける人がいるのは悪くない。」


フィリーネは胸の中でそう思いながら、舞踏会の夜を過ごしていた。



3-4: 義母の最後の妨害


舞踏会の夜が更け、会場は一層賑わいを増していた。貴族たちは次々とフィリーネに声をかけ、その姿勢や領地改革の成功について称賛を送る。彼女がかつて「婚約破棄された可哀想な娘」と見られていた頃の印象は、完全に覆っていた。


しかし、その状況を良しとしない人物がいた――義母だ。フィリーネの活躍が社交界で話題になり、彼女自身の立場が強まるにつれて、義母の不安と怒りは膨れ上がっていた。そして、ついに舞踏会の場を利用して、フィリーネを再び貶めようと画策した。



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広がる噂


舞踏会が進む中、義母が仕掛けた噂が広まり始めた。それは「フィリーネが領地改革を行ったのは、自らの地位を誇示するためだ」という内容だった。さらに、「実際に改革を行ったのは執事や領民であり、彼女自身は何もしていない」という誇張も付け加えられていた。


「確かに彼女は綺麗になったけれど、それだけでは信用できないわね。」

「領地の成功も、彼女が全てやったわけではないのでしょう?」


そうした囁き声が、会場の片隅で次第に大きくなっていく。フィリーネも、その噂が広まっていることに気づいたが、動揺することはなかった。むしろ、彼女は冷静な態度を崩さず、毅然とした表情を保っていた。


「どうせこの程度のことは予想していたわ。」


彼女は内心でそう呟きながら、静かに噂の中心にいる人物――義母の姿を探した。



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義母との対峙


義母は会場の隅で、取り巻きの夫人たちに囲まれながら、いかにも上品な笑みを浮かべていた。しかし、その目には薄い嘲笑の色が宿っている。フィリーネが彼女に近づくと、義母はわざとらしく驚いたような顔をして声をかけた。


「あら、フィリーネ。貴女もこんな華やかな場にいるなんて、少し意外だわ。」


その言葉には明らかに皮肉が込められていたが、フィリーネは微笑みを崩さなかった。


「義母様もお元気そうで何よりですわ。」


冷静な挨拶に義母は一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに態度を取り繕い、さらなる攻撃を仕掛けた。


「でも、噂を聞いたわよ。貴女の領地改革、本当は執事のトーマスが全てやっているのではなくて?」

義母は周囲の夫人たちに視線を送りながら、わざとらしく笑みを浮かべた。


「まあ、それが本当なら驚きませんけど。何せ、婚約破棄されたあの日まで、貴女は地味で何の才能もない娘でしたものね。」


義母の言葉に、周囲の夫人たちも小さく笑い声を漏らす。しかし、フィリーネは微動だにしなかった。その毅然とした態度が、義母や夫人たちに一種の不安を与えた。



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フィリーネの反論


「義母様、その噂についてですが、少し訂正させていただいてもよろしいでしょうか?」


フィリーネの静かな声が、その場の空気を一変させた。彼女は落ち着いた表情で、しかし確かな力を込めて続ける。


「確かに、私一人の力では領地をここまで再生させることはできなかったでしょう。ですが、領民たちと協力し、信頼を築きながら共に改革を進めたことは事実です。」


その言葉には、ただの言い訳ではない真実が込められていた。彼女の凛とした態度に、周囲の夫人たちは言葉を失った。


「そして、何よりも重要なのは、領地を見捨てず、私たち自身で未来を切り開こうとしていることです。それを『自らの地位を誇示するため』などと揶揄されるのは心外ですわ。」


フィリーネの冷静な反論に、義母の顔色が変わった。周囲の視線が義母に集中する中、彼女は何か言い返そうとしたが、言葉が出てこなかった。



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社交界の評価の逆転


その場の沈黙を破ったのは、フィリーネを見守っていた侯爵レオナードだった。彼はゆっくりと歩み寄り、フィリーネの横に立つと、はっきりとした声で言った。


「彼女の言葉は真実だと、私も保証します。フィリーネ嬢が自らの手で領地を再建したその努力は、既に多くの人々が認めています。」


彼の発言により、会場の空気は完全にフィリーネの味方へと傾いた。囁き声はいつの間にか称賛の言葉へと変わり、義母はそれ以上何も言えなくなった。


「素晴らしい女性ですね。あんな毅然とした態度を見たのは初めてです。」

「ヴァルモント嬢のような令嬢が増えれば、この国ももっと良くなるでしょう。」


その場にいる貴族たちの視線は、義母ではなく、完全にフィリーネに向けられていた。彼女の堂々たる態度と正論は、義母が仕掛けた噂を完全に打ち消し、社交界での評価を一気に逆転させたのだ。



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義母の退場


義母は最終的に、その場を何も言えないまま立ち去ることしかできなかった。その後ろ姿を見送りながら、フィリーネは静かにため息をついた。


「過去に縛られるのは、もう終わりにしましょう。」


そう呟く彼女の瞳には、未来を見据える強い意志が宿っていた。



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