「本当はこういうやり方はしたくなかったんだけどな……。 俺的には望にちゃんと告白して望と晴れて恋人同士になって、望のことを抱きたかったんだけど……まぁ、今回のことは仕方がなかったってところかな? 今の望はアイツしか頭にないようだし、だからさ、俺が望のことを考えるのは今日で最後にするよ」
和也はそう望の瞳を真剣な眼差しで見つめながらも、どこか悲しげな表情で望のことを見つめるのだ。
そして和也は望に向かって頭を下げた後に望のことを抱くのだった。
そんな和也に望は何も答えることなく。 ただただ無言のまま和也に抱かれる望。そうそこまで言われてしまうと返す言葉がなくなってしまったというのが正解なのかもしれない。
今の和也の言葉で、十分に望にも和也が本気で望のことが好きだっていうことが伝わってきてしまったのであろう。
だから和也がすることに関して望は抵抗しなかったということだ。
それからしばらくして和也は望のことを抱けて満足したのか、望から離れると溜まっていた仕事を始めるのだった。
望はそんな和也の後ろ姿に切なそうな瞳で見つめ続けるしかできなかったようだ。
ここで和也と一緒に働いてきて和也が望のことを好きだという気持ちを初めて知った。
そう望は今の出来事で完全に悩んでしまっているように思える。今まで親友だと思っていた友人に告白され、それにこの前会ったばかりの男性にも告白されているのだから、悩まない人間はいないだろう。
しかし今まで人生の中で一度に二人の男性に告白されるなんて今までなかった望。 いや、むしろ同性の人間二人同時に告白ってことは普通人生の中で殆どない事だ。
望は軽く息を吐くとふらふらとしながら立ち上がり、和也の隣にある自分のディスクへと座る。