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ー記憶ー78

「おい……。自分の車を忘れるほど、車に乗っていなかったのかよ」


 そう雄介に思わずツッコミを入れた望。


「ああ、まぁ……ここに来てからはあんまり乗ってなかったしな」

「はい?」


 望はそんな声を上げてしまう。だってそうだろう。そんなに長い間乗っていないと言うのだから、バッテリーや雄介の運転に心配してしまうのだろう。


 とりあえず雄介に付いて歩いて行くと、


「おー! あったあった!!」


 流石は乗っていないだけあるのかもしれない。そこには新品同様の黒色の四駆が置いてあった。


「これ、乗ったことあるのか?」

「んー、まだ、買ってから一回しか乗ってへんのかも」

「自分の運転とバッテリーとかって大丈夫なのかよ」


 そう心配そうな声を上げる望。


「まぁ、たまに気が向いた時にはメンテとかそのバッテリーの状態とかっていうのは見てたから大丈夫やと思うで……」

「あ、まぁ……それならいいけどさ」


 そうは言うけれど、暫く運転していないというのが心配だ。だが雄介の方は自信満々に言うのだから、今はとりあえず雄介の車に乗るしかない。


「ほな、デパートでええねんな?」

「ああ」


 雄介の車にはナビが付いていて、雄介はそれと無しにナビをセットする。そして雄介の運転で車は走り出す。 しかし、ブランクを感じさせないほどの運転で、やっと望の方も安心できたようだ。


 そして二十分ほどでデパートの駐車場に辿り着く。


「意外に早かったな?」


 望は車から降りると体を伸ばす。


「まぁ、ナビのおかげやろな? ナビってこんなにも便利だとは思わなかったわぁ」

「俺もナビ付けようかな?」

「そういや望にはナビ付いておらんへんかったよな?」

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