「まぁ、俺やってたまにはこう息抜きみたいなのしたいやんか。ま、そこはええとして、まぁ、今日は見逃してくれへん? 今度、何か奢るし」
雄介はその救急隊員に向かってお願いをする。
「今はとりあえず、コイツの事が心配やねんって」
「桜井さんの恋人ですか?」
「え? あ、まぁ……なんていうんか……。まぁ、とりあえず……まぁ、堪忍してな。って、何してるん?」
雄介はそう誤魔化しながらも話をしていると、その間にその救急隊員は望の事を診ているようだ。
「何してるって? 診察ですよ。 あれ? この方、よく見たら、春坂病院の吉良先生じゃないんでしょうか?」
「お前、知っておるんか!?」
「そりゃ、一応同じ地域の病院なんでね。それに、一番吉良先生が勤務している病院に患者さんを運んでいますからね」
「あ! そうかっ! 確かにそうやったわぁ……俺だって、春坂病院によく運ばれておったんやっけな?」
そう雄介は独り言のように言っていると、どうやらその救急隊員は診察は終わらせたようで、
「まぁ、吉良先生は大丈夫ですよ。煤は至る所についてますが外傷の方はありません。ただ、気になるのは内臓系か脳かな? と思われますけどね。 吉良先生はお医者さんでもあるので、自分の体位は分かるかと思いますけど。心配なら病院に行く事をお勧めしますよ」