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ー記憶ー103

『俺な、今、考えておったんやけど……。例え、望に記憶がなくとも毎日のように望の所行くし。もし、それで、俺の事思い出してくれるんやったら、嬉しいしな』


 和也の言葉に、雄介は少し期待と不安が入り混じった気持ちを抱えながら返信する。


『ああ、待ってるから……って俺が言うのも変なんだけどさ。まぁ、望と会いたい時間が欲しいんなら、俺が何とかするしさ』

『おっ! それやったら、サンキューな!』


 病院関係者が立ち会ってくれることで、雄介にも少し安心が生まれた。仕事がある日は難しいが、休みの日には面会時間に望の元に足を運ぶことを決める。




 丸一日の仕事を終え、面会時間になると雄介は望の病室へと向かった。しかし、病室の前には「面会謝絶」の看板が掲げられている。望が他の患者に迷惑をかけないようにしている様子だ。


 昨日の和也のアドバイス通り、雄介は看板を気にせずに病室に入る。すると、そこには和也の姿もあった。


「よっ! 望は平気なんか?」

「ああ、まぁな……今は寝てるけどさ」

「そうだったんか……」


 雄介は椅子に腰を下ろし、和也と共に望の様子を見守る。


「望の事見てると、こう全然記憶喪失って感じがしない気がするんだよな」

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