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ー記憶ー122

 雄介は望の部屋を飛び出し、リビングへと向かったが、そこにはもう和也の姿はなかった。


 彼は望の記憶が元に戻るまで、ここにはもう戻らないと心に決め、車のエンジンをかけると、同時に和也に電話をかけた。


「あ、和也か? あんなぁ、暫く、お前が望の側に居てくれへんか? スマンがしばらくの間、俺……望と離れる事にしたんだわぁ」


 雄介がそう告げる。突然の告白に和也は驚き、どうしたのかと問いただす。


『いったい、どうしたっていうんだよ!』

「今はその……理由聞かへんでもらえるか? ほな……」


 雄介はそれだけを和也に残し、家へと向かった。


 それから二週間が経過しても、和也から望の記憶が戻ったという連絡はなかった。


 未だに望の記憶が戻らないある日。


 雄介の元に、レスキュー隊への入隊通知が届いていた。

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