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ー記憶ー124

 雄介は自ら志願した以上、弱音を吐くわけにはいかないと思った。


 しかし、どれだけの研修を積んできたのか。


 雄介の体は精神的にも体力的にも限界に達しているようだ。


 今日一日の研修を終えて体を休ませることができるのは、寝る時だけだ。


 雄介は疲れた体を休めるためにベッドに横になり、瞳を閉じたと同時に携帯が震え出す。


 雄介はメールだと思って無視していたが、携帯が未だに振動していた。


 仕方なく、雄介は半身を起こし、携帯を見る。


 そこには『和也』と書かれていた。


 その名前に溜め息をつきながらも、雄介は仕方なく電話に出る。


 しかし、いつもはメールなのに、何で今日に限って電話なのだろうか。


 そこで首を傾げながらも、雄介は通話ボタンを押す。


『よっ! 元気にしてっか?』

「ああ、まぁな……。研修の方はめっちゃ辛いけど……」

『やっぱ、大変なんだな』

「ああ、まぁな……。とりあえずさ、また、明日もあるし、電話切ってもええか?」


 雄介はもう限界の限界なのだろう。声までもが掠れてしまっている。


『え? 本当にこの電話を切ってもいいんだな?』


 そう、和也の口から意味ありげに言ってくる。


『本当にこの電話を切ってもいいんだな?』

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