目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

ー天災ー2

 そのある日。


 いつものように、雄介は朝、消防署へと出勤した。今日もいつも通りの仕事場だと思っていたが、どうやら状況は異なるようだった。


 そう、今日は掲示板の前に人だかりができ、何やら騒がしい様子だった。雄介もその騒ぎに気になって、掲示板の前へと歩を進める。


 掲示板を見た瞬間、雄介はまるで時間が止まったかのように立ち尽くしてしまった。


 いや、足だけではない。全身が凍りついたかのように、息さえも止まるような内容が書かれていたのだから。


 雄介は思考停止状態に陥ってしまった。


 そして口を開けられるようになった頃には、


「……へ? 嘘やろ? これ、夢やないよな?」


 何度も目を擦ってみても、目の前に書かれた出来事は変わることがなかった。これが夢ならば早く覚めて欲しいとすら思うほどだ。


 この事態が嘘であってほしい。


 今、やっと望と一緒に幸せに暮らしているのに、例えそれがすれ違いの日々を送っていたとしても、それでも良かった。現実はこういうものなのだろうか。


 雄介は深呼吸して、体を引き上げる。


 掲示板に書かれていた内容が、彼を底知れぬ深みに引きずり込むものだったからだ。


 そして、ゆっくりと立ち上がり、とりあえず自分の机に向かい、顔を机にうずめる。


 その掲示板に書かれていた内容が、雄介にとってはただただショッキングなものだったからだ。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?