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ー天災ー27

 まったくもって今日は完全に会話のタイミングを逃してしまっている。


 食事をしながらも無意識のうちにため息を漏らしてしまっている雄介。


 久し振りに望と会うことができたのに、久しぶりに望と食事ができることができたのに、雄介が隠し事をしてしまっているせいで望の方も口を開こうとはしない。


 黙々と食事をしている望に、こう話しかけ辛いような雰囲気を出しているのは気のせいだろうか。


 雄介は話好きで、この沈黙というのは耐えられない性格だ。


 そう思うと、雄介は再びため息を漏らす。


「……ってか、なんなんだよ! さっきからさぁ、ため息ばっかり漏らしやがって……俺とそんなに居るのが嫌なのか?」


 確かにため息なんか吐かれたら嫌な気分になるに決まっている。


 そして、望は険しい表情で雄介のことを見上げるのだ。


「そ、そんな事ないし……」

「じゃあ、なんでさっきからため息ばっかり吐いてるんだよ。それにせっかく食事に来たっていうのに楽しくなさそうだしな」


 その望の言葉にもう一度ため息を漏らしてしまう。


 きっともうこの空気に雄介が耐えられなくなったのであろう。


 雄介はそう思うと持っていたフォークとナイフを置き、今度は意を決したように望のことを見つめるのだ。


「あんなぁ、望……」


 だがいざとなると、その言葉の続きが出てこないようだ。

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