「あ、サンキューなっ!」
和也に渡された布団を受け取った直後、
「な、和也……その布団は誰のだ?」
「ん? 俺のだけど……」
和也はもう寝る準備をしているのか、ベッドの方からうつ伏せの状態で答えた。
「和也は布団いらなくていいのかよ」
「別に寒くないし……ま、平気って言えば平気かな?」
「やっぱりかぁ」
望は一つため息を吐くと、
「今は元気でも、風邪引いたらどうすんだよ! 雄介! その布団は和也に返せよな!」
望の言葉に怒っているようにも思える。雄介は答えた。
「はぁ……ま、俺は布団なくても平気やねんけどな」
雄介は和也に布団を返す。
「はい」
「あ、ああ……?」
望の言葉に腑に落ちないような表情をした和也。気になったのか和也は、
「じゃあ、雄介はどうすんだよー」
なぜか和也は頰を膨らませて言う。
「俺と一緒に寝ればいいだけの話だろ……」
そんなことを言う望に、雄介と和也は視線を合わせて目を丸くした。
どういったわけか。さっきまで望は雄介に対して怒っていたのに、今はこんな調子だからだ。
そんな望に和也はクスリとすると、
「望がそういう風に言ってますけどー! ま、まぁ、良かったんじゃないのか? 雄介……! やっぱ、お前たちは本当にラブラブなんだな。とりあえず、俺はもう寝るっ! もう! お前たちが熱すぎて見てらんないし!」
和也はそう言うと布団の中に潜った。
「あんなぁ!」
と雄介は和也に何か抗議しようかと思ったが、その時にはもう和也の姿はなかった。どうやら本格的に布団に潜ってしまっていたようだ。