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ー天災ー87

 二人がやっと寝付けたのは午前四時だ。



 翌日。


 目覚し時計の音で目を覚ましたのは和也だけだった。


 自分の目覚し時計を止めると、もう一つ鳴っているのに気付いた和也は、その発信源を探す。すると、その音はどうやら望の目覚し時計のようだった。


 和也はその音に不思議そうな顔をしながら、望のところに向かう。隣で寝ていた裕実を起こし、そして下へと向かって望たちを起こした。


「あー、もうー! 朝からめっちゃうるさいやんか……」


 そう言いながら起きたのは雄介だった。


「とりあえず、目覚し時計で起きないお前達が悪い!」

「ああ、まぁ……そうやねんけどな……」


 和也にそう言われて、雄介は文句が返せなくなった。


 昨日は本当にあまり寝れてなかったのか、未だに疲れた様子だ。


「お前も仕事なんだろ? なら、さっさと起きないとだろ?」

「分かっておるって……」


 雄介は体を起こし、いつもみんなで座っているソファへと向かった。


 和也は雄介を起こせたが、まだ望は寝ていた。


「おい! 望!」


 和也は望の体を揺らす。


「んー、まだ、眠いんですけど……」


 はっきりと言葉にしていないようにも思えるが、もう少し寝かせてくれという意味なのだろう。


「流石にそんな訳にはいかねぇんだよ……起きないとまずいだろ?」

「んー……はいはい」


 そうは言うものの、望がそこから動く気配がなかった。


「望!」


 和也は何度言っても起きない望に呆れたのか、ひと息吐くとソファの方へと向かった。

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