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ー天災ー121

 そう言われてみればそうだ。確かに裕実の言う通りなのかもしれない。


 そんな会話を裕実としているうちに、どうやら院長の話は終わったようだ。


 今のこの東京の状況を見て東京には暫く院長はいるらしいという報告だったらしい。


 とりあえず院長がここに帰って来たという挨拶だった。


 院長の話が終わると再び会議室の電気が灯される。


 院長が出て行った後は再び会議室内が騒めき出していた。


 騒ぎ出したと同時にみんな席を立って、それぞれの部屋へと戻って行く。


 望の方も動き出すと和也達がいる所へと向かうのだ。


「んじゃあ、まぁ、行くか……」


 そう和也と裕実は望に声を掛けられて会議室を後にする。


 その途中、さっき和也が疑問に思った事を望に聞いて見ることにした。


「なぁ、望……まさか、ここの院長ってお前の親父さん?」


 そう和也は思った事は直球で聞く人間だ。いやきっと望だからなのかもしれないのだが。


「ん? まぁなー」


 そうは答える望なのだが、どうやらそれ以上は語りたくないような反応をしている。


 だが和也からしてみたら、そうだって聞いた以上色々と聞いてみたくなる。だってその事を今まで望は和也にまで黙っていたのだから。


 それに感づいたのか望は先に、


「とりあえず、俺はあんまり、あの親父と関わりたくねぇんだよ。医者の息子だからって、特別扱いはされたくなかったし。ただそれだけだ。特に俺は院長の息子だからって、他の医者にチヤホヤとかされたくねぇし……警戒とかされるのも嫌だしな。患者さんにもなんかこう弄られるっていうのか、ちゃんと向き合えなくなるのも嫌だしな……だから、俺的には他の医者や看護師と同等の扱いをして欲しくて、ただ何もそこは言わなかっただけだからさ」


 確かに望が言っている事は分かる。望がもしここの院長の息子だっていう事が病院中に知れ渡れば幹部クラスの連中は望にはペコペコとするだろう。きっと望的にはそれが嫌なのかもしれない。もしかしたらその逆もあるのかもしれない。院長の息子だからってこうなんか出来て当たり前って訳で出来なかったら、こう攻撃をするって訳じゃないんだろうけど、突いてきたりしてくるのかもしれないし、だから望は和也にさえ今まで言わなかったのかもしれない。でも一回言いかけたような事はあったのだけど。


「そういう事だったんだ。望はさ……もう、ある意味、将来って決まってるようなもんなんだよな?」

「え?あ、まぁ……そうなんだけど。でも、まだ、俺にはそんな資格はないと思うけど? まだ、医者的には赤ちゃんみたいなもんだからな。だから、まだまだ今の立場で十分なんだよ……」

「そっか」


 三人が廊下を歩きながら部屋へと戻っていると望の肩にポンッと手を置く人物がいた。

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