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ー空間ー17

 そう言う望は前に比べて前向きで笑顔で言っているのだから本当に平気なのであろう。そこに安心する和也。


 本当に望は嘘みたいに変わった。雄介が居た頃は会えないだけでイライラとしていた筈なのに今は本当に違う仕事も何もかも前向きに考えるようになってきているんだと。


「……ん?」


 和也は何かを思い出したのか、ちょっと待てよ。と思い歩みを止める。


「なぁ、望……今週末にある学会って、確か大阪でだったよな?」

「そうだけど……」


 和也は学会の事はあまりよく知らないのだが、とりあえず全国の医者が集まって勉強会をする事だという事は知っている。


 そうだ! 今の和也の問いで望が笑顔でいる理由が分かったような気がする。


 そうだ。学会での場所が大阪だっていうのだから確かに望は嬉しい所なのであろう。だって、そこは望の恋人である雄介が住んでいる所でもあるのだから。


 という事は、昨日、和也が雄介にした事が無駄になってしまったようにも思える。


 そう雄介の事を誘い出して望と雄介をまた会わせようとしていたのだが、この話を聞いて今回は望が雄介の所へ行くという事なのであろう。

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