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ー空間ー181

 雄介は先に中へと入ると、玄関の灯りを点けた。すると、今まで薄暗かった玄関先も少し明るくなり、やっといろんな物が見えてくる。


 まず目に入ってきたのは緑色の芝生だった。それと正方形のコンクリートでできた石があった。これが先ほどの門から玄関まで続いていたのであろう。


 そして、玄関から左手の方には庭が見える。


「望……何してるん? 寒かったやろ? 今日はオカンも親父も旅行に行ってて居らんし、遠慮せんでもええよ」

「あ、ああ……」


 望はそう雄介に急かされて返事をすると、靴を脱いで部屋の中へと入って行く。


「おじゃまします」

「どうぞ……」


 そう雄介は返事をすると、


「この荷物ここに置いておいてええか? 俺の部屋二階やし、持っていくの大変やしな」

「あ、ああ」


 雄介は和也と別れてからずっと荷物を持っていてくれた。今さっきだって望が覚えていなかったのに、雄介の方は覚えておいてくれていた。危なくその荷物を空港に置いて来るところだったが、雄介のおかげで忘れずに済んだのだから。


 それにしても、雄介はあんな傷を負っていたにも関わらず、本当に望の荷物を最後まで持っていてくれたことに感謝したい気持ちだ。


 しかし、今日は本当に疲れてしまっているのか、雄介は真っ直ぐに自分の部屋の方へと向かって行き、荷物を置いてすぐに二階へと上がって行ってしまった。望もその後に続いて二階へと向かう。


 雄介の部屋は二階に上がって二つの襖を抜けた先にあるようで、そこに向かうと部屋のドアを開ける。ドアというよりは襖と言った方が正解なのかもしれない。


 そして雄介は先に中へと入ると、いつもの笑顔で、

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