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ー空間ー180

「あ、ああ……ありがとうな。とりあえず、まずはガソリンを入れに行かねぇと……帰れなくなっちまうからよ」

「……ですね」


 こちらの二人も望たちが助かったということに安心したのか、やっと帰宅することができたようだ。


 丁度その頃、望たちは雄介の家の近くまで来ていた。


 雄介の家も望の家同様に広い。


 タクシーで空港から来て閑静な住宅街へと入って行くと、今の時刻は夜明け前の三時くらいで、本当に街灯しか点いていないような時間だ。そして、車一台がやっと通れる細い路地を進んでいると、垣根がある家が見えてくる。


 その垣根のところをしばらくタクシーで走らせていると、ようやくその家の門の前に着いたようで、そこで雄介はタクシーの運転手さんに止めるように言っていた。


 そして、お金を払って車を降りる。


「望……ここやで……」


 一瞬、ここが雄介の家だと思い見上げていたのだが、雄介に声をかけられてタクシーを降りる。


「ここが、俺の家や……」


 そう言いながら、雄介は門まで数段ある階段を上がって、昔ながらの木造の門を開ける。とりあえず今の望には雄介について行くしかない。


 それから数十歩くらい歩みを進めると、引き戸のドアを開ける雄介。


 ちょっと暗すぎて分からないのだが、望の家が洋風であるのに対して、雄介の家は和風のようだ。

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