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ー空間ー179

「どうしたんです? そんなに大声で上げてぇ?」

「あ、まぁ……ごめん……まぁ、俺の財布の中身見てくれよー……」


 そう言いながら和也は、今叫んだ理由を財布の中身を裕実へと見せる。


「今日な、出掛ける時に数万円は入れておいたんだけどさ……今はこの通り無いってわけさ……」

「えー!? まさか……今日はそんなに使ってしまったのですかぁ!?」

「みたいだな……」


 和也はそう裕実に言われると、指折り数えながら今日は何でお金を使っていたのかを思い出しているようだ。


「まずは朝、行く前にガソリンを入れただろ? それに、行きの高速代、後は、まぁ……昼飯代は望が出してくれたのは良かったんだけど……次は空港の駐車場料金にホテル代、また高速代の往復に泊まりのホテル代か……」


 そう和也は笑顔で言うものの、そこは冷静な裕実が突っ込んでくる。


「後、給料日まで五日くらいあると思うのですが、そこまでどうするつもりなんですか?」

「……だよな? 後はここの駐車場の料金もまだ払ってないし……後は……」


 ふっと和也は気になったのかガソリンメーターに視線を向けると、


「ガソリンもヤバイかも……」

「まったく! 仕方ないですね。 和也さんってかっこいいところたくさんあるのに、たまに抜けた所もあるんですね」

「まぁな……でも、今日は仕方ねぇだろー。望達が大変な事になっていたんだからさ。金に関しては考えてる余裕なんて無かったの……」

「まぁ、確かにそこは仕方なかったことですもんね。いいですよ。僕が給料日まで和也さんの面倒見てあげますから」


 そう笑顔で言う裕実に、和也も笑顔になる。

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