「ホンマ、望ってたまに抜けてるとこあるよな？　荷物はどうすんねん！　荷物の中に大事な物入っておんねんやろ？」

　そう雄介に言われて、顔を真っ赤にする望。

「あ……スッカリ忘れてたぜ。確かに明日、荷物が無ければ困る所だったわぁ」

「ホンマ、望はプライベートじゃあ、何処か抜けておるんやから……」

　雄介はそう笑顔で言うのだが、

「うるせぇわぁ」

　と何か言い返そうとした望だったのだが、今日の雄介の活躍ぶりを思い出したのか、「ま、いいか……」と思うと正面へと視線を向けるのだ。

「今日はもう絡んでこないんか？」

「うるさい！　もう、今日はいいんだよ……」

　そう言いながらも、雄介に元気が戻って来た事に安心する望。

「なぁ、望、暇やから、なんか言うてー」

「別に言う事なんかないんだよ。それに、もうすぐ空港に着くんだろ？」

　最近の空港というのは昼夜関係なく未だに離発着を繰り返していた。

　そして望は空港で荷物を受け取ると再びタクシーへと乗り、雄介の家へと向かう。

　一方、望の電話で安心した和也達は空港から駐車場へと向かっている途中、和也は財布を開き急に大声で叫び出すのだ。

「あー！！」

　急に上げられた声にビックリする裕実。とりあえず、その和也の大きな声に耳は塞いだものの、今和也が急に叫んだ事を聞く裕実。