多分、その間、望の鼓動は最高潮に高鳴っているだろう。
そう、望から雄介のことを誘うなんてことは今までなかったはずだ。そして、どんな風に誘ったらいいのかさえも分からないこの状況。
そんな中、雄介の後について雄介の部屋へと向かうと、雄介は部屋のドアを開けて、
「先に入ってええよ」
「あ、ああ」
と望は雄介の言葉に動揺したように言葉を詰まらせてしまっている。そして足を雄介の部屋へと踏み入れようとしているのだが、思うように足が前へと進まないようだ。
昨日なんかは結構すんなりと入っていけたのだが、今日の望はなかなか部屋へと入って行けなかった。
「どうしたん? やっぱ、もう、俺と一緒に寝るのは嫌か?」
雄介はそう心配そうに声を掛ける。
「あ、いや、別に」
「嫌やって言うんやったら、客間でもええよ。今から掃除するし」
「あー! ちょ……馬鹿っ! 今のお前にそんなことさせられるかっ! もう、いいよっ!」
望は顔を真っ赤にさせながら部屋へと入って行く。
そんな望に雄介は大きなため息をつくのだ。
今日の望の様子は何だかいつもに増しておかしいような気がする。今だって部屋に入るのを躊躇していたのだから。それに一瞬だったのだが、顔を赤くしていたようにも思えるからだ。
雄介はそう思いながらも望の後に部屋へと入って行く。
先に入って行った望はベッドの端に座ってじっとしている。
そして、あまりにも静かで顔を俯かせてしまっている望を、雄介は望に気付かれないように覗き込むのだ。
すると、未だに顔を赤くしている望の顔が目に入ってくる。