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ー空間ー210

 雄介は寝てしまっている望を起こすのは悪いと思ったのか、雄介が望にパジャマを着させもう後は望には寝てもらうようにしたようだ。


「望って案外……軽いんやな」


 そう独り言を漏らすと雄介の方も部屋着であるスウェットへと着替える。そして雄介も横になるのだ。


 この二日間時が過ぎるのが早かったようにも思える。


 そして明日にはもう望は東京へと帰ってしまう日だ。


 昨日、飛行機であんな事さえなければ、もう少し望と一緒の時間があったのであろうが、そこを後悔しても仕方がない。だってタイムマシンでもない限り人間は過去には戻れないのだから。


 雄介は望の事を抱き締めると望との最後の夜を過ごす。


 だが瞳を閉じたのにも関わらず寝れないでいる雄介。望といる時間が刻々と迫ってきているのと今日は今日で昼間寝てしまったからなのかもしれない。


 雄介は望の事を起こさないようにと望の方へと擦り寄る。


 そんな事をしているうちに急に安心感が出てきたのか望の体を抱き締めたまま眠りへとつくのだ。



 そして次の朝。窓の外は暗い雲に覆われて屋根を叩くような雨音が響いていた。


 そう音にというのか、それとも規則的にというのか雄介は眼を覚ます。


「ん……」


 と、いつものように目を覚ますと半身をベッドの上へと起こす。体を伸ばしていると隣りには愛しの恋人がまだ寝息を立てて寝ている姿が目に入ってきた。

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