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ー空間ー222

 そう言いながら、雄介はメニュー表を開き、好きな物を選び始める。


「俺の方は決まったんやけど、望はどうするん? おすすめやったら、いっぱいあんで……」


 そう笑顔で言う雄介は、望が見ているメニュー表を倒して、さりげなく望の手に手を重ね、説明し始める。


「俺はやっぱ、ミックスかなぁ? 色んな具材が入っておって、なんかお得な感じせぇへん?」


 そう言いながらも、雄介はまだ望の手から離れようとはしていない様子だった。望の方も、特に今日は怒ることなくそのままにしている。


「そっか……それじゃあ、俺もそれにしようかな?」


 望がそう答えると、雄介はテーブルにあるボタンを押して店員を呼び、注文をする。


「なぁ、望……今日は、この手離せとかって言わんのか?」


 雄介はそう聞く。やはり雄介はそこが気になったのだろう。


「え? あ、ああ、まぁな……」


 それを雄介に直球に聞かれて、視線を逸らしながらもそう答える。


「そっか……ほなら、ええねんけど」


 雄介はそれ以上は望に突っ込むことはせず、望の手にあったメニュー表を取ると、片手は暫くそのままにしておく。


 それから数分もしないうちに具材が運ばれてきて、二人だけの甘い時間は終わってしまったようだ。雄介の方はお好み焼きに気合いが入ってしまったのか、早速、お好み焼きを作り始めた。


「めっちゃ美味いもん作ってやるしな。 まぁ、少しだけ待っておいて……」


 望はそんなことを言う雄介にクスクスと笑い始める。


「ちょ……望なぁー、そこ、笑うとこなんか?」

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