タイミングがいいというのか、タイミングが悪いというのか。雄介はお好み焼きを作り終え、そのお好み焼きを鉄板の上で半分にして、望のお皿の上へと分ける。そして次に自分のお皿にも分けるのだ。
「ほんで、今、何か言おうとしておらんかったか?」
雄介は自分の分のお好み焼きを今度は箸で切りながら聞いてくる。
どうやら雄介は聞いてないようで聞いていたようだ。
「あ、ああ、だからな……お前ってモテそうなんじゃないかなぁ? って思ってよ」
「ん? そう言われてみれば、確かにモテへんな。周りは男性ばかりの仕事場やし、女っ気はない所やしな。見事にモテたことなんてないわぁ」
「そうなのか? ならさ、もし、いきなり女の子に告白されたらどうするんだ?」
雄介はその望の問い掛けに考えるためなのか、一旦、望から視線を外す。
「まぁ、とりあえず、恋人はおるよ……って言うかな? ほんで、その子にお前の写真見せる」
そうニヤけながら言う雄介。しかし、その言葉に望は片眉を上げる。
「ちょっと待て……俺がいつお前に写真やった?」
今度は、その望の言葉に雄介の方が吹きそうになっていた。
だが、すぐに雄介は笑顔になると、
「あー、それな! 約一週間前に和也から貰ったんやで……その写真については俺関係あらへんもん。和也が勝手に俺に送り付けてきたんやし」
そう言いながら雄介はその一週間前に和也から貰った写真を見せるのだ。
その写真は、望と和也で行ったビアガーデンの写真だ。しかも、この時の望は半分馬鹿騒ぎをしていた時の写真でもある。