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ー空間ー232

 仕方なく望は気持ちを入れ替えて診察を始める。


 だが雄介のことが気になっているからなのか、落ち着いて診察ができるわけもなく、診察室にある時計をちらちらと見てしまっているようだ。


「のーぞーむー……」


 そう和也に注意を受けるほどだ。そして和也は望の耳元で、


「ちゃんと集中しなきゃダメだろ?」


 と喝まで入れる始末だ。


「分かってるよ……!」


 そうは言うものの、落ち着かない様子は変わらないように思える。


 和也はその姿を見て一つため息を吐くと、


「今日、仕事終わったらさ、飲みに行かないか? ってか、久しぶりに望の家で飲みたいかもー! ま、まぁ……愚痴云々はそこで聞いてやるからさ……」


 そう和也は言うと、今日の望はすんなり承諾したようだ。


「ああ、いいぜ……構わないよ」


 望のそんな素直な反応に和也はクスリとすると、今日の診察が終わったのか診察室の掃除を始めるのだ。


 そして仕事は十八時ごろに終わらせると、二人は部屋の方に戻って行く。


 望は部屋へ入ると、自分のジャケットが掛けてあるロッカーへ向かい、携帯を見つめるのだが、今日はもう雄介からのメールは入っていなかった。


「もう……俺たちの関係は終わりなのかよ……」


 望はその携帯に向かって愚痴を漏らすと、その携帯を握り締める。


 雄介から連絡がなければ、望からメールでもしようかと思ったのだが、何を送っていいのか分からなかったのか、そこで望はメールするのを諦めてしまったようだ。


 それから部屋の掃除を終わらせると、和也は、

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