二人がいなかったからであろう。和也や裕実はラブラブなことをしていたようだ。
この二人の場合、会えさえすればいつもイチャイチャしたりラブラブなことをしているのだが。
先に雄介がリビングに通じるドアを開けると、裕実がスプーンを持ち和也の口へと食べ物を運んでいる。
「……ったく。お前らはホンマ変わらへんなぁ」
そう半分ため息混じりで言う雄介。
「俺らの場合にはただ単にイチャイチャしてるところを見せつけたいだけなんだよー。それよか、案外、お前ら帰ってくるの早かったんじゃねぇのか? まだ、十五分ぐらいしか経ってねぇぞ……」
雄介は、
「まぁなぁ……」
と言いながら、さっき座っていた自分の席へと座るのだ。
「つーかさ、雄介もなんとなくだけど、機嫌悪くねぇ?」
「それは気のせいやって……」
雄介はそう適当に答えるのだが、そういうことに関して敏感なのは和也だ。
だからなのか、和也はもうこれ以上何も追求しないようにしたようだ。
「それよかさぁ、スキーの話の方はどうするんだ?」
そうやってうまく和也は話を切り替える。
「せやなぁ? 望はどこに行きたいん?」
「はぁ!? ……俺!?」
「望が行きたいところやったら、どこにでもー!」
そうわざとなのか、テンション高く言う雄介。
「ま、それはええねんけどなぁ。ってか、望ってスキーできるんか? まぁ、望は頭はええやろうし、運動神経も良さそうな感じがすんねんけど……。ほんでもって、スキーなんかは毎年行ってます? って感じがすんねんけどな?」
「……へ? あ、ああ、まぁな」
そこまで言われてしまうとプライドが高い望は、中学の時に修学旅行で行ったスキー教室で足を折ってしまって以来、スキーなんかしたこともないとは言えなくなってしまったようだ。
実は望は確かに頭はいい方なのであろうが、運動神経の方もそこそこ良いらしく、他のスポーツはそこそこできるものの、スキーだけはスキー教室で足を折ってしまったせいかスキーだけは苦手な部類のようだ。 正確にはトラウマになっているのかもしれない。
「えー? そうなのか? 望がスキーに行ったところなんて見たことねぇけど……。まぁ、俺の方は大学以来行ってねぇから、行きたい方だからな。ってかさ、裕実はどうなんだ?」