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ー雪山ー64

 今回、こっちに来る際には車ではなくバイクを持ってきていた雄介。


 車はやはり望があるのだからいらないとでも思ったのであろう。


 雄介はそのバイクに跨ると今日はバイクでスーパーへと向かうのだ。


 こうやって一人で買物に向かうのも久しぶりなような気がする。


 そうこっちの来てからは休みの日にはデートではなく望と買物に出ていた。だから、こうして久しぶりに一人で買物をしに出かけたと思ったのかもしれない。


 バイクで十分程の所にある住宅街の一角にある大きめのスーパー。このスーパーに行くと大抵の食材は揃うのだから便利だったりする所だ。


 このスーパーの二階には敷地分だけの駐車場もある。 それだけ買物客が見込めるという事なんであろう。


 雄介は買物籠を手にすると、なるべく安くていい物を選んでいく。とりあえず適当に食材を選んで後からメニューを考えて行ったらいいと思ったからなのかもしれない。


 とりあえず今日は望の為にお粥でも作ろうと思ったのか、お粥用の食材も探しているようだ。


 と雄介がスーパーで買物をしていると聞き慣れたメロディが聞こえて来る。


 とりあえず、この音楽に指定しているのは望だ。


 雄介はそれに気付くと慌てた様子で携帯を胸ポケットから出し通話ボタンを押す。


「もしもし……」

『お前なぁ。何処に行ってんだよ!』


 いきなりの望の大声で持っていた籠を落としそうになる雄介。


「何処にって買物やし。望の家の近くにあるでっかいスーパーやで」

『あ、そっか……』


 そう望はその雄介の言葉に納得してくれたようだ。だからなのか、さっきみたいな大声ではなく、


『あ、まぁ……それはいいんだけどさ……ってか、何でお前のトランクスがベッドの上にあんだ?』

「それか? それは、望がな……」

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