「望が気になんねんなら、俺、トイレに行ってくるしな」

　望はその雄介の言葉に暫く黙っていたのだが急に雄介の手首を掴み、

「行くなよ。俺が今心が弱ってるの分かってるんだろ？　本当に今の俺は寂しいんだからな」

「ほな、俺のムスコさんが大人しくなるまで待っておいてな」

「あ、ああ」

　望はその雄介の言葉に安心したのか雄介の手を離して再び雄介とは反対側を向く望。

　雄介の方は優しく微笑むと再び布団の中へと入って望の体を後ろから抱き締める。

「逆にそんなに密着しても大丈夫なのか？」

「あ、ああ、まぁな。何とかなる」

　その言葉を信じたのか信じてないのか望の方は瞳を閉じるのだ。

　やはり休みの日でも熱が出ていても大人になると昼寝というのはこう出来ないものなんだと改めて気付く。

　しばらくして雄介のモノが大人しくなった頃。雄介は望に向かって声を掛けるのだが返事はなく寝てしまったのであろうという事に気付くと雄介の方も瞳を閉じる。

　そして雄介が目を覚ましたのは真っ青だった空がオレンジ色へと変わる頃だ。

「やっばっ！　いつの間に寝ておったんやろ？　飯作らなきゃアカンのにな」

　雄介はベッドの上に半身を起こすと、まだ寝息を立てている望の姿が目に入ってくる。

「寝られたようなら良かったわぁ……ま、ええか……。とりあえず、俺は買物に行かなぁアカンしな。とりあえず、望どないしよ？」

　フッと雄介が気付くと望が雄介のトランクスを掴んでいた。

「へ？　俺にこの状況でどないしろって言うねん……」

　とりあえず、困ったようなため息を吐くと仕方なしにトランクスだけを脱いで立ち上がるしかなかったようだ。

「ほな、望には悪いねんけど、買物に行かなきゃなんないし、買物に行ってくるな」

　と独り言のように寝ている望に一応言って行くと雄介は洋服へと着替えて雄介はヘルメットを被ると外へと出る。